
FPの業務を行う中で、医療に関する情報収集は不可欠となっています。厚生労働省のHPは情報の宝庫ですが、昨今では「先進医療」への関心が高いことから、『平成○年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について』を興味深く追いかけています。前年7月1日からの1年間が対象期間で、技術数、実施医療機関数、全患者数、かかった費用などが取り上げられています。
このほど、平成23年6月30日時点の報告書がアップされました。
それによると、平成23年6月30日時点で先進医療と承認されている技術数は、第2項と第3項を合わせて123種類。遡って平成19年6月30日時点から見ると、117→91→107→110→123というように推移しており、1年間の増減が激しいことがわかります。ちなみに今年1月1日時点では132種類に増えています。
増減する理由は、実施するなかで、効果が高い治療技術と確認されれば健康保険適用となって先進医療から外れ、効果が薄いようなら廃止されるからです。「健康保険法等の一部を改正する法律(平成18年法律第83号)」では、先進医療を「厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養その他の療養であって、保険給付の対象とすべきものであるか否かについて、適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養」としているように、先進医療の実施は新しい医療技術の効果を確かめる実験のためであり、治療効果が高いようであれば健康保険で受けられるようになると知っておいたほうがいいでしょう。
ところが、「先進」と銘打っていることで、必ず治る最先端の治療というイメージが蔓延しており、古くさい保険診療では治らないと誤解している向きもあります。本来なら、実験段階で効果が確かでないのが先進医療、健康保険で受けられる治療は効果が確認された治療、と認識しておくべきです。
また、「高額」というイメージもある先進医療。だからこそ、医療保険での保障ニーズが高まっているわけですが、すでに述べた理由からも、先進医療保障の優先順位は低いと考えます。CMの影響もあって、295万円ほどの自己負担額がかかる重粒子線治療が先進医療の代名詞のようになっていますが、年間実施件数はまだ873件です。比較的実施件数が多いのは陽子線治療の1508件で、平均267.7万円ほどの自己負担額となります。いずれもガンの先進医療なので、ガンへの不安から記憶に残りがちな金額です。
しかし、それ以外に100万円を超える高額な治療技術は数えるほどで、実施件数も数人から30人未満という状況です。高額の先進医療を受ける可能性は、かぎりなく低いと言えそうです。
ところが、これから各社の医療保険についている先進医療保障が、通算限度額2000万円に引き上げられる傾向が続くと思われます。メットライフアリコが早くから2000万円で売り出しており、1回あたり1000万円としていた支払い上限を昨年10月に取り払いました。要するに、1000万円以上する先進医療でもOKということです。他に、住友生命やメディケア生命が通算限度額2000万円で、アフラックもこの1月から従来の700万円を2000万円に引き上げる商品改訂を行っています。今後、他の保険会社も追随するものと思われます。
通算限度額1000万円でも重粒子線治療が3回受けられるほど十分な保障額なのに、なぜ2000万円なのか。それは、平成22年年11月に第3項先進医療技術として承認を受けている「インスリン依存状態糖尿病の治療としての心停止ドナーの膵島移植」の存在にありそうです。この治療、『平成23年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について』では実施件数ゼロなのですが、典型例として挙げられている福島県立医大病院の費用例が何と1313.5万円となっています。1回で1000万円を超える治療が出てきたということです。
自分はその治療を受ける可能性があると、どうしても心配な人は、保障の検討もやむなしでしょう。何といっても保険料が安く、終身払いの場合メットライフアリコは107円、メディケア生命は110円、アフラックは99円です(メットライフアリコ、アフラックは10年更新なので将来変わる可能性アリ)。100円前後の安い保険料で2000万円の大きな保障が買える、まさに「保険」ならではの機能です。
でも、加入者から100円ずつ集めるだけで採算が合うということは、保険金が支払われる可能性は非常に低いということ。加入中の医療保険の内容で十分安心でき、保険料負担も軽いようなら、安易な乗り換えはかえって家計にマイナスです。














