「がん」の定義は何か
「がんになったら保障されるのががん保険でしょう」と思いがちですが、「がん」の定義は必ずしも同じとは限りません。「ICD-10(2003年版)※記載の悪性新生物」をがんの定義とするもの、「ICD-10(2003年版)※記載の悪性新生物と上皮内新生物」をがんの定義とするものがあります。
前者は上皮内新生物は「がん」とみなしていません。だからと言って上皮内新生物を保障しないかといえば必ずしもそうではなく、上皮内新生物を保障する特約を付けることによって給付金支払いの対象とするものや、特約ではないものの、主契約の診断給付金の一定割合を給付するといった商品もあります。
がんの定義を上皮内新生物にまで広げている商品の場合、すでに上皮内新生物に罹ったことのある人は加入できません。ところが、上皮内新生物は異形成や良性新生物との境界は必ずしも明確ではなく、過去に治療を受けた経験のある人は加入時の告知に注意が必要です。
上皮内新生物は転移することがなく、治療費負担もさほど大きくないので、本当にがん保険からの給付が頼りになるのは悪性新生物に罹ったときです。そのときに、過去に罹った上皮内新生物に関する告知義務違反に問われて給付が受けられないといった事態は避けたいものです。悪性新生物を「がん」と定義している保険であれば、上皮内新生物は「がん」ではありませんので、上皮内新生物に罹ったことのある人も加入できます。
支払回数制限のない診断給付金
がん保険の要は、がんと診断確定されることにより受け取れる診断給付金です。診断給付金を受け取れるのが1回限りのものと、所定要件を満たせば回数制限なく受け取れるものがあります。何回でももらえたほうがよさそうですが、所定要件に注意が必要です。
初回の診断給付金はどの保険も「はじめてがんと診断確定されたとき」となっており、比較的わかりやすいのですが、2回目以降は商品によって少しずつ異なっています。前回の支払事由を満たしたときから、2年以上経過しなくてはならないというのは共通するようですが、それ以外は「原発がんとは関係なくがんが新たに生じたと診断確定」、「2年経過後に新たにがんと診断確定」など、少しずつ異なっていますので、必ず約款を確認しましょう。
ちなみに、がんの発病時期を特定するのは容易ではないといわれています。恣意性が働きかねず、公平性が保たれない約款には危うさを感じます。また、上皮内新生物と異形成、良性新生物との境界が明確ではなく、発生率の予測が困難とも言われていることから、給付があまりにも多くなったとき、保険会社の財務基盤は大丈夫かも気になります。それ以前に、保険会社によっては、今だに「契約をしないと約款を渡せない」とコールセンターの担当者に言わせているところもあるので、そのようなところは言語道断です。
放射線治療の50グレイ基準
放射線照射は広く行われているがん治療ですが、その保障内容も違います。「放射線治療給付金」と打ち出しているものと、がん手術給付金として支払われるものがあります。その際にチェックしていただきたいのが、「50グレイ以上の照射」という基準があるかどうかです。
50グレイという量は一度に受けるわけではありません。何度か治療が続き、累計で50グレイ以上になったときに、60日に1度を限度に請求できるというものです。ところが、最近は医療技術の進歩により、さほど放射線を被ばくしなくても治療効果が得られるようになり、累計でも50グレイに達することはあまりなくなっているようです。
保険は契約です。他の保険に乗り換えられない状態になったとき(がんになったとき)、「こんなはずじゃなかった」とならないよう、約款で契約内容を十分確認することを怠らないようにしましょう。














