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「収入保障保険」は合理的な仕組みだけれど…
2009年08月07日
最近、「収入保障保険」タイプの死亡保険が人気を集めており、専門家が薦める生命保険ランキングでも上位に入ることが多い。
一般に広く知られている「定期保険」と言われるタイプは、被保険者が死亡すると一時金で保険金が支払われる。これに対して「収入保障保険」は、一定の年齢まで年金のように毎月一定金額が支払われる仕組みである。定期保険は、保険期間内であればいつでも2000万円なら2000万円といった定額の死亡保険金が支払われるが、収入保障保険は、保険期間の満了(60歳、65歳など)が近づくほどトータルで受け取る金額が減っていくため、一時金タイプの定期保険より保険料が安い。これが人気の理由の一つだ。
一家の家計の担い手が確保すべき死亡保障は、子どもの成長に伴って年々減っていくため、収入保障保険の仕組みはとても合理的。受け取る側からみると、まとまった金額の一時金より、公的な遺族年金の補完として毎月受け取る方が使いやすいといった利点も人気の理由だろう。
しかし、私は、税制面でのデメリットが大きすぎてお薦めできない。年金受け取りする保険金は「雑所得」扱いとなり、所得税・住民税がかかるため、一時金で受け取るより税金面で不利になる。税金だけでなく、国民健康保険料の負担も増える。
税制面のデメリットは以前からよく知られていて、保険の売り手や専門家の中には「税金がかかったとしても、それ以上の年金が受け取れるのだから、保険料の安さと合理性を取った方がいい」と言う人もいた。そこで、税金と国保の保険料がどのくらいかかるのかを試算してみたら、驚いたことに1カ月分の年金額の2倍強の負担増となった。
例えば、夫を亡くした妻がパートで働き月10万円の収入があるとする(16歳未満の子どもが2人・東京23区在住)。妻の所得税・住民税、国保保険料の合計は、年間約6万1000円。この妻が、収入保障保険から月額10万円の年金を受け取っていると、所得税・住民税、国保保険料の合計額は年30万7000円となり、24万6000円も負担がアップするのである。
月10万円の年金に対し、年間約24万円の負担増ということは、せっかくの年金が2カ月分以上目減りしてしまうということだ。収入保障保険の年金額を20万円で試算しても、年金2カ月分強の負担増となった。
さらに驚くことに、さいたま市在住のケースだと、23区在住に比べ年間約2万円の負担増となる。これは、国保保険料の計算方法が市区町村によって異なるからである。
妻が社会保険加入の社員の場合は、収入保障保険の年金を受け取っても社会保険料の額に変化はないが、所得税と住民税の負担はアップする。
年金額が年額20万円を超えると保険会社から所轄税務署に支払調書が提出されるため、「黙っていればバレない」ということはなく、年金を受け取っている間中、確定申告が必要となる。
そもそも、保険会社から受け取る年金の課税は、老後に「生きて」受け取る個人年金を想定した計算方法で、死亡保険金の年金受け取り用に別途計算式があるわけではない。課税の仕組みは、その年受け取った年金から、「必要経費」にあたる既払い保険料を差し引いたものが雑所得となり(実際の計算式はもう少し複雑)、給与所得などと合わせて総合課税。個人年金は運用で増えた分が所得となるが、死亡保険の場合、必要経費にあたる既払い保険料が少ないため、雑所得が膨らんでしまうのだ。
ちなみに公的な遺族年金や、職場の職員互助会などの遺児育英年金は、非課税である。民間商品なので全額非課税にはならないだろうが、税務上の控除額を拡大するなど母子家庭や父子家庭の生活を配慮した税制が必要だと思う(保険会社には当局にぜひ働きかけをして欲しい)。現在の課税方法である限り、一時金で死亡保険金を受け取るタイプの方をお薦めする。
一般に広く知られている「定期保険」と言われるタイプは、被保険者が死亡すると一時金で保険金が支払われる。これに対して「収入保障保険」は、一定の年齢まで年金のように毎月一定金額が支払われる仕組みである。定期保険は、保険期間内であればいつでも2000万円なら2000万円といった定額の死亡保険金が支払われるが、収入保障保険は、保険期間の満了(60歳、65歳など)が近づくほどトータルで受け取る金額が減っていくため、一時金タイプの定期保険より保険料が安い。これが人気の理由の一つだ。
一家の家計の担い手が確保すべき死亡保障は、子どもの成長に伴って年々減っていくため、収入保障保険の仕組みはとても合理的。受け取る側からみると、まとまった金額の一時金より、公的な遺族年金の補完として毎月受け取る方が使いやすいといった利点も人気の理由だろう。
しかし、私は、税制面でのデメリットが大きすぎてお薦めできない。年金受け取りする保険金は「雑所得」扱いとなり、所得税・住民税がかかるため、一時金で受け取るより税金面で不利になる。税金だけでなく、国民健康保険料の負担も増える。
税制面のデメリットは以前からよく知られていて、保険の売り手や専門家の中には「税金がかかったとしても、それ以上の年金が受け取れるのだから、保険料の安さと合理性を取った方がいい」と言う人もいた。そこで、税金と国保の保険料がどのくらいかかるのかを試算してみたら、驚いたことに1カ月分の年金額の2倍強の負担増となった。
例えば、夫を亡くした妻がパートで働き月10万円の収入があるとする(16歳未満の子どもが2人・東京23区在住)。妻の所得税・住民税、国保保険料の合計は、年間約6万1000円。この妻が、収入保障保険から月額10万円の年金を受け取っていると、所得税・住民税、国保保険料の合計額は年30万7000円となり、24万6000円も負担がアップするのである。
月10万円の年金に対し、年間約24万円の負担増ということは、せっかくの年金が2カ月分以上目減りしてしまうということだ。収入保障保険の年金額を20万円で試算しても、年金2カ月分強の負担増となった。
さらに驚くことに、さいたま市在住のケースだと、23区在住に比べ年間約2万円の負担増となる。これは、国保保険料の計算方法が市区町村によって異なるからである。
妻が社会保険加入の社員の場合は、収入保障保険の年金を受け取っても社会保険料の額に変化はないが、所得税と住民税の負担はアップする。
年金額が年額20万円を超えると保険会社から所轄税務署に支払調書が提出されるため、「黙っていればバレない」ということはなく、年金を受け取っている間中、確定申告が必要となる。
そもそも、保険会社から受け取る年金の課税は、老後に「生きて」受け取る個人年金を想定した計算方法で、死亡保険金の年金受け取り用に別途計算式があるわけではない。課税の仕組みは、その年受け取った年金から、「必要経費」にあたる既払い保険料を差し引いたものが雑所得となり(実際の計算式はもう少し複雑)、給与所得などと合わせて総合課税。個人年金は運用で増えた分が所得となるが、死亡保険の場合、必要経費にあたる既払い保険料が少ないため、雑所得が膨らんでしまうのだ。
ちなみに公的な遺族年金や、職場の職員互助会などの遺児育英年金は、非課税である。民間商品なので全額非課税にはならないだろうが、税務上の控除額を拡大するなど母子家庭や父子家庭の生活を配慮した税制が必要だと思う(保険会社には当局にぜひ働きかけをして欲しい)。現在の課税方法である限り、一時金で死亡保険金を受け取るタイプの方をお薦めする。
筆者プロフィール
深田 晶恵
「日経マネーDIGITAL」FP快刀乱麻より (c)日経BP社 日経マネー編集部
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