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医療保障設計、もうひとつの選択肢

2008年05月20日

医療保障設計再考
昨年のことですが、ある保険会社が開催した医療保障をテーマにしたセミナーに参加しました。その時、これまで私が常識と疑わなかった様々な考え方が、必ずしも正しいばかりではないということを知らされました。最終的には、個人の価値観に基づく選択に委ねられますが、医療保障設計の定説とは対照的な、もう1つの選択肢をご紹介します。

医療保障設計の定説
最近、手軽な家計改善対策として人気の生命保険の見直し。当然ながら医療保険についても見直しが行われます。
入院給付金は1日いくらか、1入院あたり何日までの保障にするか、終身保障か有期保障か、更新型か全期型か、終身払いか短期払いかなど、お客様のご希望を伺いながら保障設計を進めていきます。一般的に、60~120日型で、60歳あるいは65歳までの短期払い、終身保障というタイプの保険に人気があるようです。
その時、1入院当たりの限度日数を決めるための参考資料として、よく引き合いに出されるのが厚生労働省による「患者調査」です。

入院限度日数を決める根拠としての平均在院日数
その中の「傷病別平均在院日数」、平成17年度患者調査によると次の通りです。

●年齢別に見た3大生活習慣病の平均在院日数
15~34歳ガン
心疾患
脳血管疾患
17.6日
14.4日
41.3日
35~64歳ガン
心疾患
脳血管疾患
19.5日
17.8日
58.7日
65歳以上ガン
心疾患
脳血管疾患
28.6日
32.1日
114.4日

この表を元に考えると、ほとんどの場合が60日型の医療保険でカバー可能です。120日型が必要なケースは65歳以上の脳血管疾患のみ。上の表に載っていない傷病分類を見ても、120日を超えているのは「精神および行動の障害」など一部に限られます。
その結果、入院期間短縮化の流れとあいまって、基本は60日型、脳血管疾患が心配なら120型でよかろうという答えが導かれます。

平均でない場合の在院日数は?
ところが、厚生労働省の別の調査をみるとちょっと違ったものが見えてきます。
その調査とは「病院報告」、最新のデータは平成19年11月分概数というもので、平均在院日数は33.3日です。ここだけ見れば、平成17年度患者調査の全体平均37.5日よりも短くなっていますが、注目したいのは、「病床別平均在院日数」という項目です。

●病院における病床別に見た平均在院日数
総数33.3日
精神病床319.1日
結核病床72.5日
療養病床174.7日
一般病床18.7日

一般病床とは、結核病床、精神病床、感染症病床を除いたものを言い、そのうち主として長期にわたり療養を必要とする患者を入院させるための病床のことを療養病床といいます。療養病床の平均在院日数は174.7日、大部分の方は短期間で退院するのですが、一旦入院が長期化すると平均でもかなり長い期間に及ぶことが伺えます。
また、一般的な医療保険では、入退院を繰り返しても傷病名や部位が同じ場合1入院とみなされるため、治療期間が長期化すると120日型の医療保険ではカバーしきれないことも十分考えられます。

医療保険で備えるリスクとは?
医療保障におけるリスクとは何でしょうか。それは、予期せぬ入院により、不意の出費を強いられることに他なりません。
仮に入院にかかった医療費が200万円とすると、高額療養費制度により払い戻される金額を考慮した自己負担額は、70歳未満の所得区分が一般の層では、1年で約70万円、2年では約120万円、3年なら約175万円になります。これを貯蓄でカバーするとなるとかなり大変です。
これに対して、一般病床の平均である20日程度の入院なら10万円以下、貯蓄で何とかできそうな金額です。
そう考えると、医療保険は60日型や120日型よりも、730日型や1000日型など、超長期の入院に対応できる保険を選ぶ方が、家計に大きな影響を与えるような高額出費に対するリスク対策として理に適っているように思われます。

超長期入院対応型医療保険の問題点
ただし、730日型や1000日型の医療保険は保険料で比較すると割高です。また、短期払いができなかったり、更新型の定期保険であったり、今人気のタイプの医療保険とは対照的です。特に60歳を過ぎてからの保険料が大きくなるため、終身保障を継続するのは現実的には大きな負担になります。
この問題を解決する方法のひとつは、60代になるまでに一定の貯蓄を医療目的資金として確保しておくことです。例えば、3年分の自己負担金額175万円を20年間で準備するには、目標利回り3%、1ヶ月複利で、1ヶ月あたり5,330円の積み立てで可能です。準備期間が25年ならば3,923円で済みます。この分を、あらかじめライフプランの中に医療資金積立として組み込んでおけば、その分の資金が貯まった後は、医療保険を継続しなければよいのです。

選択肢の一つとして検討を
何を医療保険に期待するのかによって、どちらを選択するのがよいのか答えは違ってきます。そして最終的にその判断をするのは、保険契約者であるご自身です。
それぞれのメリット、デメリットをしっかり理解したうえで、納得いく選択ができるように、医療保険を見直す場合には、今回紹介したもう1つの選択肢を検討してみてはいかがでしょうか。

株式会社 住まいと保険と資産管理
ファイナンシャルプランナー 山川正人
提供:株式会社FP総研



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