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インフレリスクに対応できる物価連動国債ファンド

2008年07月10日

 ここにきて世界的に物価上昇率が高まっている。日本においても5月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合指数)の前年同月比が1.5%の上昇となった。今後に関しても、資源価格の高騰を受け、さまざまな商品・サービスの値上げが予定されており、当面は物価が下がるような状況ではない。

 物価が上がると、それに見合って給料や年金などが増えないと生活は苦しくなる。また、物価上昇率以上で運用できないと資産価値が実質的に目減りしていくので、運用方法も工夫する必要がある。

 この物価上昇にストレートに対応できる運用商品に物価連動国債がある。たとえば株式や不動産はこれまでインフレに強い資産といわれてきているが、インフレ局面で必ず強みを発揮するとは限らない。これに対し物価連動国債は、国内需要が強くて起きるディマンド・プル型のインフレであれ、原油や穀物など資源価格などが上昇して起きるコスト・プッシュ型のインフレであれ、消費税引き上げによる物価水準の上昇であれ、どのような要因で起こる物価上昇にも対応できる。

 なぜなら物価連動国債は、全国消費者物価指数(除く生鮮食品)の動きに連動して元金額と利払い額が増減する国債だからだ。具体的には、物価連動国債の発行後に物価が上昇すれば、その上昇率に応じて元金額が増加し、物価が下落すれば、その下落率に応じて元金額が減少する。増減後の元金額は想定元金額という。利率は発行時に決められたものが満期時まで適用され続ける固定金利だが、利払い時点の想定元金額に利率を掛けたものが利払い額になるので、物価の変動に応じて利払い額も増減する。満期は10年で、償還額は満期時の想定元金額になる。
 したがって10年間で物価が20%上昇すれば、当初の投資金額の120%の金額を満期償還金として受け取れる。この間、所定の利子も受け取れるので、税金を無視すれば、完全に物価上昇に対応できることになる。
 物価連動国債は2004年3月から発行されており、今年度は2ヵ月に1回5000億円程度ずつ(年間約3兆円)の発行が予定されている。ただし保有できるのは金融機関や年金基金、投資信託などに限られており、個人や一般の事業法人は直接購入できない。このため一般投資家は投資信託を通して物価連動国債に投資することになる。

 物価連動国債で主に運用されているのが「物価連動国債ファンド」だが、物価が上昇すれば、物価連動国債の元金額も利払い額も増えるので、インフレによる貨幣価値の目減りに対応できる。逆に物価が下落すると、元金額と利払い額は減少するので、値下がりする可能性がある。また物価が上昇したとしても、さほど上昇率が高くなければ、あまりリターンは期待できない。
 さらに物価連動国債は固定金利の債券なので、通常の固定金利の債券と同じように、金利が上昇すれば物価連動国債も値下がりし、金利が低下すれば物価連動国債も値上がりする。
物価連動国債の価格には、これまでのインフレ率、今後のインフレ率の予想、金利の動きが影響を与えるわけで、一般の債券に比べれば価格変動要因は複雑である。たとえば、物価はさほど上昇せず、金利だけが上昇するような局面では、物価連動国債ファンドは値下がりする可能性が高くなるので、実際に投資するにあたっては仕組みをよく理解しておく必要がある。

 なお、物価連動国債ファンドは債券で運用するので、もともと高いリターン・大きな値上がり益が期待できる商品ではない。また短期的には価格はあまり動かない商品である。したがって、あくまでもインフレによる貨幣価値の目減りを防ぐ手段として、あるいは長期のインフレリスクをヘッジする手段として、長期投資で臨むべき商品だといえる。
 また将来のインフレが心配だとしても、物価連動国債ファンドだけではなく、他の商品と組み合わせて投資したほうがよい。たとえば仮に今後、資源価格が下落に転じれば、物価も落ち着き、株価は上昇傾向になるかもしれない。したがって株式型のファンドなどとも組み合わせて投資したほうがよいだろう

生活設計塾クルー 目黒政明

「日経マネーDIGITAL」FP快刀乱麻より   (c)日経BP社 日経マネー編集部

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