米国不動産投信(REIT)は復活するか
2009年10月06日
目先明るさが見えてきた、米国の住宅建設事情
いささか旧聞に属する話ですが、9月17日に米商務省が8月の住宅着工・許可件数を発表しました。結果は、8月の着工件数が前月比1.5%増の年率59万8000戸となり、コンセンサス予想の60万戸を下回っています。内訳では、一戸建て住宅の着工件数が前月比3%減の年率47万9000戸と6カ月ぶりに減少する一方、集合住宅は前月比25.3%増の同11万9000戸と前月の落ち込みから増加に転じました。ただし、前年同月比では着工件数は29.6%減少しています。
一方、今後の住宅建設動向を示す着工許可件数は、コンセンサス予想の58万戸を下回ったものの前月比2.7%増の年率57万9000戸となり、前年同月比では32.4%減となりました。前年同月比ではまだまだ底を打ったとは言い難い状況ですが、着工件数も着工許可件数も単月では増加に転じ、目先明るさが見えてきました。
米REITが保有している商業不動産は、約45兆円という市場の巨大さ
さて、不動産価格は株価と並んで景況感を表す代表的なものですが、ニューヨーク・ダウ平均株価や日経平均株価などと異なり、地価や建物価格の平均価格はあまり一般的に知られてはいません。日本では土地価格については、国土交通省の公示価格や国税局の路線価がありますが、これはあくまで土地が中心。建物価格を含む不動産価格全般を表しているわけではないのです。そこで、今後世界の不動産市場の先行きを鳥瞰するために、アメリカのREIT(Real Estate Investment Trusts=不動産投資信託)価格がどのように推移しているかを見てみましょう。
日本でも一部投資家にはお馴染みのREITですが、米REITはニューヨーク証券取引所に上場されているもののみで123本(インデックスのFTSE NAREITでは138本)、時価総額は2050億ドル(約18兆円、同じくインデックスでは約18.5兆円)になります。米REITが保有している商業不動産は全米で約45兆円相当になります。(NAREIT REITWatch 2009年8月号)日本では東証上場REITは40本、時価総額は3兆円程度ですので、アメリカのREIT市場の規模の大きさがお分かりになるかと思います。
NAREIT指数は、第二四半期28.9%上昇し、ほぼ本年のマイナス分をカバー
米REITの特色は、日本のように居住用やオフィスビルが中心ではなく、さまざまなセクターに分かれていることです。それらセクター(シェア)は大きく分けて、(1)オフィス・工場(19%)、(2)小売(21%)、(3)住宅(13%)、(4)多角(6%)、(5)ホテル・リゾート(5%)、(6)ヘルスケア(13%)、(7)倉庫(7%)、(8)特殊(6%)(9)モーゲージ(9%)となっています。NAREIT指数は2009年第二四半期に入っては上昇に転じましたが、年初来7月末まではマイナス3.2%となっています。第一四半期はマイナス31.8%でしたが、第二四半期は28.9%上昇し、ほぼ本年のマイナス分をカバーしました。セクター別には最もパフォーマンスが高かったのはホテル・リゾートの+21.3%で、最も低いセクターは住宅のマイナス7.9%です。直近7月は、全てのセクターがプラスに転じ、NAREIT指数全体は+10.5%上昇、そのうち最もパフォーマンスの高かったセクターは、ヘルスケアの+17.3%でした。
米国株式の2倍以上の配当利回りを持つ、米国REIT
このように景況感に大きく左右されるREITですが、資産運用の投資対象として考えた場合、いくつかの特徴があります。
(1)証券取引所に上場している
(2)専門家が不動産を運用し、リスク分散
(3)安定した分配金、相対的に高い利回り
(4)実物不動産への投資と比べ、少額で投資可能。
特にNAREITにおける(3)の配当利回りについては、The FTSE NAREIT All REIT Indexベースでは年5.8%です。S&P 500指数の配当利回りが年2.2%ですので、米国REITの配当利回りは米国株式の2倍以上となっています。流動性に関しても株式同様、活発なものとなっており、年々その取引量が増加して来ています。日次の平均的取引額は、1999年7月が約300億円、2004年7月が890億円だったのに対し、2009年7月は2800億円となり、過去10年間で10倍近くまで膨らんできているのです。
世界最大の市場規模と流動性がある米国REITに注目の価値あり
REITは景況感に左右されやすく、バブルが発生するところに不動産ありというのも事実です。しかしながら、投資信託といえば株式と債券が中心と考えられていますが、不動産もREITという枠組みを使って小口になり、家賃収入から得られる配当(分配金)や値上り益を期待できるインストルメントです。
株価が世界的に底を打ち上昇に転じる中、米国住宅市場も土砂降りから晴れ間が見える状況にまで回復しました。不動産投資に興味がある方は、世界最大の市場規模と流動性がある米国REITに注目してはいかがでしょう。
いささか旧聞に属する話ですが、9月17日に米商務省が8月の住宅着工・許可件数を発表しました。結果は、8月の着工件数が前月比1.5%増の年率59万8000戸となり、コンセンサス予想の60万戸を下回っています。内訳では、一戸建て住宅の着工件数が前月比3%減の年率47万9000戸と6カ月ぶりに減少する一方、集合住宅は前月比25.3%増の同11万9000戸と前月の落ち込みから増加に転じました。ただし、前年同月比では着工件数は29.6%減少しています。
一方、今後の住宅建設動向を示す着工許可件数は、コンセンサス予想の58万戸を下回ったものの前月比2.7%増の年率57万9000戸となり、前年同月比では32.4%減となりました。前年同月比ではまだまだ底を打ったとは言い難い状況ですが、着工件数も着工許可件数も単月では増加に転じ、目先明るさが見えてきました。
米REITが保有している商業不動産は、約45兆円という市場の巨大さ
さて、不動産価格は株価と並んで景況感を表す代表的なものですが、ニューヨーク・ダウ平均株価や日経平均株価などと異なり、地価や建物価格の平均価格はあまり一般的に知られてはいません。日本では土地価格については、国土交通省の公示価格や国税局の路線価がありますが、これはあくまで土地が中心。建物価格を含む不動産価格全般を表しているわけではないのです。そこで、今後世界の不動産市場の先行きを鳥瞰するために、アメリカのREIT(Real Estate Investment Trusts=不動産投資信託)価格がどのように推移しているかを見てみましょう。
日本でも一部投資家にはお馴染みのREITですが、米REITはニューヨーク証券取引所に上場されているもののみで123本(インデックスのFTSE NAREITでは138本)、時価総額は2050億ドル(約18兆円、同じくインデックスでは約18.5兆円)になります。米REITが保有している商業不動産は全米で約45兆円相当になります。(NAREIT REITWatch 2009年8月号)日本では東証上場REITは40本、時価総額は3兆円程度ですので、アメリカのREIT市場の規模の大きさがお分かりになるかと思います。
NAREIT指数は、第二四半期28.9%上昇し、ほぼ本年のマイナス分をカバー
米REITの特色は、日本のように居住用やオフィスビルが中心ではなく、さまざまなセクターに分かれていることです。それらセクター(シェア)は大きく分けて、(1)オフィス・工場(19%)、(2)小売(21%)、(3)住宅(13%)、(4)多角(6%)、(5)ホテル・リゾート(5%)、(6)ヘルスケア(13%)、(7)倉庫(7%)、(8)特殊(6%)(9)モーゲージ(9%)となっています。NAREIT指数は2009年第二四半期に入っては上昇に転じましたが、年初来7月末まではマイナス3.2%となっています。第一四半期はマイナス31.8%でしたが、第二四半期は28.9%上昇し、ほぼ本年のマイナス分をカバーしました。セクター別には最もパフォーマンスが高かったのはホテル・リゾートの+21.3%で、最も低いセクターは住宅のマイナス7.9%です。直近7月は、全てのセクターがプラスに転じ、NAREIT指数全体は+10.5%上昇、そのうち最もパフォーマンスの高かったセクターは、ヘルスケアの+17.3%でした。
米国株式の2倍以上の配当利回りを持つ、米国REIT
このように景況感に大きく左右されるREITですが、資産運用の投資対象として考えた場合、いくつかの特徴があります。
(1)証券取引所に上場している
(2)専門家が不動産を運用し、リスク分散
(3)安定した分配金、相対的に高い利回り
(4)実物不動産への投資と比べ、少額で投資可能。
特にNAREITにおける(3)の配当利回りについては、The FTSE NAREIT All REIT Indexベースでは年5.8%です。S&P 500指数の配当利回りが年2.2%ですので、米国REITの配当利回りは米国株式の2倍以上となっています。流動性に関しても株式同様、活発なものとなっており、年々その取引量が増加して来ています。日次の平均的取引額は、1999年7月が約300億円、2004年7月が890億円だったのに対し、2009年7月は2800億円となり、過去10年間で10倍近くまで膨らんできているのです。
世界最大の市場規模と流動性がある米国REITに注目の価値あり
REITは景況感に左右されやすく、バブルが発生するところに不動産ありというのも事実です。しかしながら、投資信託といえば株式と債券が中心と考えられていますが、不動産もREITという枠組みを使って小口になり、家賃収入から得られる配当(分配金)や値上り益を期待できるインストルメントです。
株価が世界的に底を打ち上昇に転じる中、米国住宅市場も土砂降りから晴れ間が見える状況にまで回復しました。不動産投資に興味がある方は、世界最大の市場規模と流動性がある米国REITに注目してはいかがでしょう。
フィデリティ投信株式会社
インベストメント・マーケティング部長
太田 創
提供:有限会社イマジネーション
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