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二ッポン企業の底ヂカラに学べ! 富士フイルムホールディングス株式会社
「富士フイルムのデジタル技術への取り組みは1970年代にスタートしていた」

意外と思われるかもしれないが、富士フイルムはほぼ創業同時期の1936年に、医療分野へ進出している。事業はレントゲンフィルムの開発・製造からスタート。さらに来るべきデジタルの時代を見据え、時代に大きく先駆けた1975年、デジタルX線画像診断システムFCR』の開発がスタートした。

「FCRの開発を加速させた大きな要因は、1979年からのシルバーショックです。フィルム製造に不可欠な原材料である銀の価格変動に対するリスク回避策として、デジタルが世の中に殆ど普及していない時代から、いち早く診断画像のデジタル化の研究に取り組みました。83年にはFCRを商品化することができたのですが、価格は当時の金額で1億5000万円。大きさは、なんと10メートルくらい(笑)。早速ヨーロッパの展示会で発表したんですが、非常に高い評価をいただきました。デジタル時代が到来するはるか以前から、こうした先端研究に取り組めた背景には、将来技術に果敢にチャレンジする富士フイルムの企業風土があると思います」(富士フイルムメディカル社長 加藤久豊氏)

当時なら“大胆”ともいえるアナログからデジタルへの業態転換の背景には、原料価格変動に対するリスクコントロールがあったようだ。このように、資源価格商品価格は、企業業績に影響を与える要素として常に注目される。下の図を見ていただきたい。“シルバーショック”は、突然吹き上げた銀価格の高騰劇で、1979年5月、1キロ5万円ほどだった銀価格が、翌80年1月には1キロ35万円にまで跳ね上がっている。このチャートを見て、今年春の原油価格高騰を思い起こされた方も多いと思うが、資源価格や商品価格は、即企業に収益にまで関わってくる切実な問題だ。これらを扱っている企業は、価格高騰で増益となり、これらを原材料として使用している企業は、価格高騰が減益要因となる。簡単に一例を挙げると、金価格と住友金属鉱山の関係がわかりやすいだろうか。住友金属鉱山は、国内に世界でも有数と言われる金鉱山を持っているため、金価格の上昇は同社株の買い要因となる。ニューヨーク金先物価格は、今年10/24、1トロイオンス(約31グラム)あたり681ドルという年間最安値をつけた。同日の住友金属鉱山の株価は終値で627円だった。12/19現在では、金が852ドル、住友金属鉱山が910円と、その連動性が読み取れると思う。今年起こった金融危機のような特異な状況を除けば、金価格に連動しやすい企業として、知っておいて損はないだろう。金や銀などの非鉄(貴金属)市況資源価格コモディティ価格は、投資行動のなかで常にチェック項目として頭に入れておきたい。

富士フイルムの『FCR』は、発売以来20年以上にわたる技術開発と市場知見の蓄積を背景に、世界的に普及した。さらに、その進化形モデルとして『デジタルマンモグラフィ』を開発。082月には医師の診断をサポートして乳がんの早期発見を支援する画像処理システムFCRデジタルマンモグラフィCAD』を発売した。2001年時点でおよそ1万5000台だった『FCR』販売台数は、2008年現在5万7000台にまで伸び、世界トップシェアを誇る(2007年9月末現在)。この数字は、医療業界のデジタル化の加速と共に、今もさらに伸び続けている。

銀の価格推移
「国の一大課題でもある、医療IT化。企業にも投資家にも、大きなチャンスがやってくる」

「医療の現場では画像診断は必要不可欠なものであり、その技術は日々進化しています。デジタル化の次の課題は、病院内のネットワーク化ですね。お客さまに絶えずベストなソリューションを提供していくことが、創業以来の企業理念でもあります」(メディカルシステム事業部長 鈴木俊昭氏)

現在、医療ITの市場規模は世界で約3兆6千億円規模と言われている。医師不足地域医療の問題が叫ばれる昨今、医療ネットワークの普及はもはや必然だ。社会的ニーズも貢献度も高いそのプラットホームシステムの開発は、医療事業に関わる企業に残された金脈である、とも言われている。
この競争に、富士フイルムは国内シェアTOPを誇る「医用画像情報ネットワークシステム SYNAPSE(シナプス)」を携えて勝負する。舞台は、国内に限らない。

「最近、電子カルテなど、病院向けのITシステムの開発を手掛けている中国最大手の企業を買収しました。中国でトップシェアを誇る有力なパートナーですよ。中国では今、医療のIT化が進んでいますし、中国政府が地方を中心に医療サービス体制の拡充を重点課題の一つに掲げていますから、市場は今後、大幅な成長が見込めるでしょう」(鈴木氏)

海外進出においては、アメリカ・GE社など、欧米の大手企業が富士フイルムの競合となる。2008年1~6月期における世界のM&A総額は、前年同期比で14.5%減の5973億ドル。世界的に巻き起こった金融危機が、確実に企業のM&A活動にも影響を与えているようだ。欧米企業が経営環境の悪化によりM&Aに慎重になる中、資金力で優位に立つ日本企業の攻めの投資が目立つ。世界各地の有力なシステム会社や販売会社などとの提携を進める富士フイルムには、チャンスと言えるかも知れない。

しかし、M&Aと株価の関係は複雑だ。たとえば、もしここで、経済に明るい方に「日本で一番M&Aを得意とする企業は?」と問えば、ほとんどの方が『日本電産』と答えるだろう。だが日本電産と言えば、進行していた『東洋電機製造』への買収提案が先日破綻したニュースが記憶に新しい。12月15日に発表された買収断念のニュースは、もちろん株式市場にも影響を与えた。15日、終値で338円あった東洋電機製造の株価は、翌16日、この報をうけ、悲観した投資家が投売り、一気にストップ安の258円まで急降下。一方、買収を提案していた日本電産は、“高い買い物をしなかった”とマーケットからは見なされ、株価に大きな変動はなかった。

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