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二ッポン企業の底ヂカラに学べ! 富士フイルムホールディングス株式会社
「デジタルの普及により、多様化が顕著になったライバルたちの事業展開」

ここで一度、話題を医療機器から離し、産業のデジタル化が進行していった1995年当時について触れてみたい。当時、医療のデジタル化で躍進中の富士フイルムをはじめ、精密機器製造メーカーとして国内競合のキヤノンニコンコニカミノルタオリンパスカシオなどは、マーケットからどのような評価を得ていたのだろうか。

下図にある、過去15年間の各社の株価を見ながら振り返ってみよう。95年を機に、株価の動きに顕著な違いが現れているのが見てとれる。キヤノン(黄土色)は、パソコン事業からの撤退などで一時停滞したものの1987年「イオス・シリーズ」がヒットし、デジカメ普及の立役者となった。株価も、95年から2000年までの5年間で2倍までジャンプした。アナログ時代に覇権を争ったニコン(青)も、デジタル化の波に乗り遅れまいと大健闘同じ期間で株価を4倍に伸ばしている。

一方で、国内フィルム業界で富士フイルムに次いでフィルム2位の老舗コニカミノルタ(水色)は、完全に出遅れた形となった。95年当時は、デジタル化に躍進する競合を横目に見つつ、株価は停滞。2003年8月、コニカとミノルタが経営統合し『コニカミノルタホールディングス』として再出発すると、03年9月1日には終値で1700円まで買われ、統合前から約10%ほど上昇した。統合によるシナジーを期待した上昇だったようだが、その後株価はジリジリと下げている。赤字に陥っていたカメラ部門の今後の扱いを、市場は注目していたようだ。05年11月に、懸案となっていたカメラ部門を縮小すると発表するや、株価は月初で956円だったものが、月末には1099円まで上昇した。翌06年1月19日には、コニカミノルタは『αシステム』をソニーに売却し、カメラ事業からの完全撤退を発表。赤字部門を切り離すことが市場から好感され、19日の株価終値1278円は、20日になると1350円まで上昇。4月には1547円まで買い上っていった。

1995年を境にそれぞれの事業展開の多様化が顕著になり、それに対する投資家からの評価も様々に分かれたが、デジタル化に成功した企業と、別路線を歩こうとする企業―― 株価が企業価値のすべてではないにせよ、マーケットはデジタル化を推進する企業を選んだということが見て取れる。中でも富士フイルムは、医療を戦略分野の一つとして捉え、「FCR」の開発により、日本におけるデジタル時代の創成期を牽引した。もちろん可能性あふれる医療分野へ進出したのは富士フイルムだけではない。オリンパスやペンタックスなど光学機器、電子機器メーカーも、医療分野では大きな競合だ。ここにさらに医療用ネットワークシステムなどの開発を行う富士通などもが加わり、日本の医療市場は今、激しいシェア争いが行われている。

過去15年間の各社の株価比較
「医薬分野で新たな価値創造を目指す富士フイルム」

さて、フィルム事業で蓄積した技術やノウハウが、医療の分野で大きく躍進していく原動力となった富士フイルムは、その勢いのまま得意のナノテクノロジーなどを駆使し、今度は医薬の分野にまで、その触手を伸ばそうとしている。2006年度の調べでは、医薬品市場は全世界で、およそ76兆5000億円の規模。医療カテゴリーの中でも破格の数字だ。そんな中同社は、083月、新たな事業パートナーとして、新薬の研究開発を行ってきた『富山化学工業』を買収した。

富山化学は、現在抗インフルエンザ薬T-705』の臨床試験を行っています。創薬の過程で、第一フェーズを通過した薬の上市率は日本の製薬メーカー上位20社平均で11%程度ですが、富山化学は43%と非常に高く並外れた開発力を持っている。その富山化学に我々の持つ“ナノ化技術”や、抗酸化剤などの20万種類もの“化合物ライブラリ”を提供し、より画期的な新薬開発を進めていきます。」(ライフサイエンス事業部長、戸田雄三氏)

富山化学は、新型インフルエンザに対する効果が期待される抗インフルエンザ薬T-705』の治験を進めており、09年暮れの発売を目指している。世界的に注目されるインフルエンザ・クライシスに関わるこの事業は、もちろん市場においてもインパクトは高いはずだ。現在インフルエンザ薬として定番になりつつある「タミフル」を製造・販売する中外製薬は、インフルエンザが流行し出す11-12月にかけて、株価がジワリ上昇していく傾向が見られる。07年秋と今年秋の中外製薬の株価を振り返ってみれば、その動きが顕著に分かるだろう。07年10/7、終値で1741円だった株価は、同年12/5になると1950円まで上昇している。今年10/27、金融危機の影響はあったが、終値で1257円だった。これがひと月経った11/28、1648円まで上昇している。“夏場はビール会社、冬は製薬会社”といった投資視点も、年間を通してのマーケットの見方としては面白いのかも知れない。これまでも多数の企業をM&Aしてきた富士フイルムだが、ライフサイエンス事業の医薬部門で、富山化学とのM&Aが今後どのような形で実を結ぶか、投資的視点からも興味深いところだ。

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