
テクニカルアナリスト・ファイナンシャルプランナーの視点
「多角化する企業の見極めとして、明確なスクラップ・アンド・ビルドの姿勢に注目」
富士フイルムは、社名が示すようにフィルムメーカーとして創業したが、売上高に占めるフィルムの比率は僅か3%程度に過ぎない。現在はデジカメや複写機から内視鏡まで造る総合精密機器メーカーと、フラットパネルディスプレイ材料等を製造する化学品メーカーとしての性格を併せ持っている。多角化された同社の現状は、長年にわたる成長領域への継続投資と、M&A戦略の結果もたらされたものでもあり、株式市場もそれを肯定的に評価してきた面がある。現在の株価水準は、2003年に記録した日本株のバブル後一番底当時を大きく下回っているが、これは市場が同社の多角化路線に疑問を持ち始めた証左かもしれない。今後予想される世界経済の低迷や円高といった逆風下、中期経営計画で目指す、SGA比率20%台前半の達成といった守りの姿勢はもとより、不採算部門のリストラと、新規参入した医薬品事業などで早急な結果を出すなど、明確なスクラップ・アンド・ビルドの姿勢を示す必要に迫られよう。
テクニカルアナリスト・ファイナンシャルプランナー 田中 徹郎
<検索キーワード: 「インデックス型」「化学・繊維」「電機・精密機器」など>
株式を投資対象にした投資信託にはいろいろな種類がありますが、今回は「業種別インデックス型ファンド」のお話しをしましょう。「業種別インデックス型ファンド」は文字通り、化学・繊維、電機・精密機器といったように、特定の業種に属する企業の株式のみに対象を絞って運用する投資信託です。株価はもちろん企業の個別材料によっても動きますが、一方で業種ごとに似通った動きをするのが一般的です。例えば今回取り上げた富士フィルムホールディングスが属する化学セクターの業績は、個人消費の動向に左右される傾向があり、現在のように個人消費が急速に落ち込む状況は株価にとってマイナスです。一方で医薬・食品セクターなどは、個人消費低迷の影響はさほど受けないとされています。このような業種ごとの特徴をうまく利用することにより、例えば円高や個人消費の低迷など、現在日本経済が直面する悪材料に対し、ディフェンシブなポートフォリオを構築することもできます。
投資暦10年・金融ライターの視点
「日経225」「TOPIX」関連の投資信託が上昇するとき―― それは国際優良銘柄の底力が発揮されたとき
経営の多角化が進行している企業を見る場合、どの部門が大きな収益源となっているのか、何が一番の“稼ぎ頭”なのか、そこら辺りがなかなか見えにくいものです。富士フイルムについてもまったく同じことが言えると思います。写真フィルムや印画紙など、写真関連からの脱却が進み、今では医療用精密機器や液晶パネル向けフィルムなどが好調。市場では富士フイルムは、「化学セクター」とされていますが、これはあくまでフィルム事業がメインだったころの名残りと思っていいのではないでしょうか。精密機器や電気機器、機械など、ぜひ複合的な視野で捉えたい企業です。海外を含め、幅広く事業展開している富士フイルムにとって、原材料の高騰や為替の問題など、現在の経済環境はやはりにマイナスに影響するでしょう。今後予想される売上減を見込み、リストラも進んでいるようですが、世界的な経済危機を乗り切るためには、徹底した効率化やコスト削減など、さらに一段の企業努力が求められると思います。また逆に言えば、これだけのグローバル企業だけに、世界経済が浮揚してくれば株価の立ち直りも意外なほど早いはずです。
金融ライター 宗川 和彦
<検索キーワード: 「日経225」「TOPIX」「医薬品」など>
富士フイルムの会社設立は1934年。戦前から日本経済を下支えする中核メーカーとして活躍し、今では日経225採用銘柄として、その地位を不動のものとしています。その信用度と安定感から、国内海外問わず、機関投資家から好んで買われてきました。ゆえに、このたびの経済危機をむかえ、金融商品の現金化がパニック的に進むような市場環境では、真っ先に売られてしまう銘柄ともなりました。しかし国際優良銘柄として、事業内容や経営基盤の安定感はセクター中でも抜けた存在ですから、いろいろな数字をこまめにチェックするよりも、素直に日経平均との比較で底値を確認してから、「日経225」や「TOPIX」関連のファンドに買いポジションを立てれば、充分利益になるでしょう。また2008年春に富山化学工業と資本・業務提携を行い、インフルエンザの新薬開発にも取組んでいますので、いずれこちらの方面からも、富士フイルムはホットな話題を提供するかも知れません。
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