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二ッポン企業の底ヂカラに学べ! 株式会社雪国まいたけ
第三章「食の安全システムの構築は、ウチの歴史そのものなんです」

様々な要因が重なり逆風が吹いている現在も、しかし雪国まいたけの企業スタイルはあくまでマイペースそのものだ。中心にあるのは「食の安心・安全」。雪国まいたけといえば「検査」といわれるほど、“農薬検査”、“重金属検査”、“衛生検査”の徹底ぶりは、業界内では特に有名だ。食の安全対策を磐石なものとしていた大平は、次に流通履歴の明確化に注目した。

「ほんの10年前は、ウチの農薬検査は“やりすぎだ”なんて言われていたんです。この検査結果を、スーパーなどでも、このきのこがどれほど安全な食べ物であるかを知っていただくために、パソコンや携帯電話で生産過程での様々な検査結果を簡単に見られる仕組みを作って、生産履歴情報(トレーサビリティ)の明確化もスタートさせました」

食べ残しや使い古しの食材を再度料理に使用していた「船場吉兆」事件は記憶に新しいところだ。この事件をうけて、マーケットでは食の安全システムなど、食材の企業間電子取引市場を手掛ける企業に、投資家の買いが集まった。産地偽装の問題や製造年月日の改ざん、さらには残留農薬や毒物混入など、食の安全や信頼を脅かす事件が連日マスコミを騒がせている中、あらためて食の安全に対してマーケットの注目の高さをうかがわせるアクションだったと言えるだろう。

第三章「食は医なり! 世界への突破口は、まいたけ抽出エキスと日本食ブーム」

また、雪国まいたけの『企業価値向上』への取り組みは安全と品質へのこだわりだけにはとどまらない。2004年には、米国がん専門病院「メモリアル・スローンケタリング・キャンサー・センター」において、元乳がん患者を対象としたある臨床実験が開始された。まいたけから抽出される“MDフラクション”という成分を、化学療法と併用して、免疫力を高める実験だ。雪国まいたけは、きのこ総合企業としてこの研究の一端を担う。研究には、米国国防省からの援助も決定した。

「現在、第2フェーズに向けて準備中とのことです。ウチが米国のガン研究に参加しているのは、雪国まいたけの実力が、国内よりも先に海外から認められたという証しだと思っています。このまま研究が進んで効果が実証されて、世界中の乳がんの患者さんの痛みを和らげることができたら、こんなにすばらしいことはない。事業も格段に広がりますしね」

今年の6月には、カルナバイオサイエンスが国立がんセンターとの共同研究契約を締結したニュースを受け、前日比5000円(7.65%)高の7万400円まで上昇、差し引き500株の買い注文を残してストップ高比例配分となった例もある。実験の成功から広がる雪国まいたけの新たな事業展開も、投資家からの注目を多く集める契機となりそうだ。

「もちろん、本業きのこでの海外進出も進行中です。中国では、すでに生産工場が稼動していて、販路も好調に広がっており、向こう3年で経常利益率30%の成長を見込んでいます。また世界での日本食ブームで、アメリカ国内ではきのこの市場がここ15年で2割強の拡大を見せていますからね。着実に市場開拓を行い、世界に対して雪国まいたけを発信し、地に足をつけて、一歩一歩前に進んでいきたいと思います」

今後の課題は、雪国まいたけの「オハコ」とも言える品質管理体制をいかに海外でも高いレベルで実施できるか。また、新たに始まりつつある医療関連事業での強みを、いかにアピールできるか、にかかっているのだろう。そして、現況を抜け出す起爆剤となり得る、雪国まいたけの今後を占う重要な事業がもうひとつある。もうひとつのきのこ戦争とも言える、『バイオ』開発だ。

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