第18回 派生商品(デリバティブ)
デリバティブとは
派生商品(デリバティブ)は、個人にとって縁遠いものと思われがちですが、最近では個人向け金融商品にもその仕組みにデリバティブを活用したものが見られます。また、金融商品取引所に上場しているデリバティブ取引の最低投資金額が低くなってきたことから、個人投資家が直接、デリバティブ取引に参加するケースも増えているようです。
今回は、個人の資金運用の一手段となっている「デリバティブ」の概要についてご説明します。
デリバティブの意味
デリバティブ“derivative”という英単語は「派生的、副次的」という意味です。
つまり、従来から存在している何かから二次的に発生しているというものを指します。
金融商品の場合、株式、債券、金利、外国為替(通貨)などを対象として、そこから派生した商品を「デリバティブ」「派生商品」「金融派生商品」などといいます。
デリバティブは、それぞれの元となっている金融商品と密接な関係を持っています。
デリバティブの対象となる商品は金融商品だけでなく、例えば気温や降雨量によって収益性が決まる「天候デリバティブ」など多様な種類が存在します。
デリバティブの種類
デリバティブ取引は、大きく分けて「先物取引」「オプション取引」「スワップ取引」の3種類に分類されます。

先物取引とは、その元になる金融商品について、将来売買を行なうことをあらかじめ約束する取引をいいます。
オプション取引とは、元となる金融商品について、将来売買する権利をあらかじめ売買する取引をいいます。
スワップ取引とは、経済価値の等しいキャッシュフローをあらかじめ取り決めた条件に従い、一定期間にわたりお互いが交換する取引をいいます。
さらに、先物とオプションを組み合わせた先物オプション、スワップとオプションを組み合わせたスワップションなど、デリバティブとデリバティブを組み合わせた商品も開発されています。
デリバティブの特性
デリバティブ取引は、元となる金融商品のリスクを低下させたり、リスクを覚悟して高い収益性を追及したりするなどの投資手法として活用されます。
デリバティブの特性として「リスクヘッジ機能」「レバレッジ効果」についてご紹介します。
(1)リスクヘッジ機能
株式や債券などの金融商品は、日々その価格が変動します。
つまり売買する際に価格がいくらになるかわからない、保有している資産の価値が下落するかもしれない、といった将来の不確実性(リスク)があるといえます。
このリスクを排除しようとすることをリスクヘッジといいます。(ヘッジ(hedge):「垣根」「防御」等)
デリバティブを活用することで、対象となる金融商品の価格変動リスクを一定範囲に抑えること、すなわちリスクヘッジが可能になります。
(2)レバレッジ効果
レバレッジ(leverage)とは「てこ」のことであり、小さな力で大きなものを動かすことを意味します。
通常、株式や債券の金融商品の売買には、それに相当する現金や株式・債券そのものを持っていなければなりませんが、デリバティブ取引では通常それらは必要ありません。
デリバティブ取引では、一般に当初の証拠金など取引時に発生する金額は原資産の取引よりも少額でありながら、株式や債券などの実物の金融商品を売買したときと同じような効果が得られるのです。
このように少ない投資金額で大きな取引ができることを「レバレッジ効果」といいます。

コラム デリバティブの起源は?
デリバティブの起源は古く、日本では江戸時代、海外に目を向けると古代ギリシャ時代にもさかのぼると言われています。
例えば江戸時代の日本では、米商人たちの間で、米の売買価格を収穫前にあらかじめ決める取引が行われていました。米の価格は天候や天災などの要因で変動しますから、事前に米の価格を決めておくことで思わぬ相場の乱高下による損失を取り除くことが目的でした。さらに、米の値上がりを見越して買い付けたり、米の値下がりを見越して売りつけるなど、取引を利用して利益を狙う参加者もいたようです。これはデリバティブ取引の1つである「先物取引」の原型といえます。
また古代ギリシャ時代には、「オプション取引」の原型、すなわち権利の取引が見られました。哲学者ターレスはある年、天文学の知識をもって翌年のオリーブが豊作になることを予見し、オリーブの搾り機を借りる権利をあらかじめ買っておきました。翌年、見込み通りオリーブが豊作となったため、オリーブ搾り機を借りる値段は値上がりしました。しかし、彼は事前の約束どおりの値段で借り入れ、それを高い値段で人々に貸し出すことで大きな利益を手に入れたと言われています。
このようにデリバティブは、実際のモノのさまざまな取引の中で自然発生的に生まれていたといえます。
(出所)金融広報中央委員会「やさしいデリバティブ」
デリバティブ取引のうち「先物取引」「オプション取引」について次頁以降、説明します。
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