国際的に銀行が深刻な現在の状況をどう考える
2008年10月02日「銀行破綻に慣れてきた」金融市場
9月14日にリーマン・ブラザーズが破綻して以来、米国のみならず欧州でもこのところ毎日のように銀行の深刻な経営悪化と救済のニュースが飛び交っています。市場の雰囲気は「もうなにも驚くことはない」という感じです。だんだんとニュースに対する反応が鈍くなっているように感じられます。
これは、とりあえず今のところは政府や比較的健全な金融機関が助けてくれていますので、実体経済に目立った影響が出ていないためだと筆者は考えています。金融業界は確かに大混乱していますが、だからといってすぐに一般の人々の生活に影響が出るわけではありません。また破綻したリーマンですら、バークレイズや野村に多くの部門が買われ、従業員の多くもそのまま働くことができそうな雰囲気です。
さすがに9月28日(日)に米下院が金融安定化法案を否決した際には、「ひょっとしたら政府が助けてくれないかもしれない」という不安から株式市場はかなり動揺しました。しかしながら、それでもなお「最終的にはなんとかしてくれる」という期待が強いように感じられます。
「恐慌」も十分にありうる
しかし、仮に政府がなんとかしてくれるにせよ、景気はこれからかなり一段と冷え込むことは、もはや確実と思ったほうが良いと筆者は考えています。
キーワードは「ディレバレッジング」です。
世界の金融機関は、特にここ数年、貸し出しを積極的に行い、結果的に経済全体に資金がジャブジャブに溢れた状態になっていました。米国や英国、スペインやアイルランドといった国で不動産市場がバブル化し、それがはじけた今、金融業界はこれだけ大変なことになっています。
その中でも「投資銀行」と呼ばれる「預金を預からず、自身の信用力で調達した資金で投資を行う」いわば巨大なファンドのような金融機関がどんどん肥大化していました。彼らは旺盛に資金を借り入れ、それを積極的に投資しました。こうした一連の動きにより、世界の経済は「レバレッジが高まった状態」、つまり、個人に例えると年収の何十倍もの(少々オーバーですが)お金を借りてそれを不動産投資にまわすような、非常にリスクの高い危険な状態になっていたわけです。
こうしたリスクの高い状態を続けていくことが不可能であることは、この1年の大騒動で火を見るよりも明らかとなり、多くの金融機関が破綻しました。問題は、この「宴の後」が今後実際に普通の人の生活に影響を与える可能性が極めて高いことです。
今後、世界の経済はこれまでのような「レバレッジの高い状態」を解消し、徐々に身の丈にあった状態に戻ってくるものと考えられますが、何事も「ちょうどよい状態」にすぐに戻すのは難しく、おそらくしばらくは「必要以上にリスクを恐れた状態」にまで針が振れるものと思われます。つまり「レバレッジの解消」=「ディレバレッジ」が強力に進み、経済をかなり大きく減速させる可能性があるということです。
「恐慌」・・・そのとき円はどちらに動く?
以上のように、実体経済の状況は、今後「世界恐慌」に近い状態も十分可能性があるといわざるをえないところまできていると思っておいたほうが良いでしょう。
そこで最後の問題です。はたして「恐慌」となった場合、円相場はどちらに動くのでしょうか?円安でしょうか?円高でしょうか?
これは一昔前でしたらほぼ確実に「円高」でした。日本は経常黒字国で、対外純資産が潤沢にあり、恐慌にでもなればリスクを恐れた日本人が世界中から資金を引き上げて、結果として円高になるというシナリオです。
しかし、現在は様相がかなり異なっています。世界中の誰もが、日本人が自分のお金を日本に引き上げても投資先がないことを知っています。恐慌になれば、日本の金利はほぼ間違いなくゼロに戻ります。それでも日本人は日本に資金を戻すのでしょうか?
ここ数週間の金融業界の大混乱の中、日本の金融機関は果敢に海外金融機関への出資を進めています。野村證券は破綻したリーマンのヨーロッパ部門、アジア部門のかなりの部分を買いましたし、三菱東京UFJはモルガン・スタンレーに1兆円近い出資を行い筆頭株主となりました。「金融業界の恐慌」の最中、日本の金融機関は資金を引き上げるどころか、海外投資を積極化しています。
結果として筆者は、円相場はある程度まではいっそうの円高リスクがあるとみていますが、それほど大きなものにもはや発展することはないと見ています。ある程度しばらく我慢する覚悟があるのであれば、中長期的に見て収益の期待できる新興国や、とりあえず金利低下の可能性の高い長期債といったところであれば、十分に買えると考えています。
9月14日にリーマン・ブラザーズが破綻して以来、米国のみならず欧州でもこのところ毎日のように銀行の深刻な経営悪化と救済のニュースが飛び交っています。市場の雰囲気は「もうなにも驚くことはない」という感じです。だんだんとニュースに対する反応が鈍くなっているように感じられます。
これは、とりあえず今のところは政府や比較的健全な金融機関が助けてくれていますので、実体経済に目立った影響が出ていないためだと筆者は考えています。金融業界は確かに大混乱していますが、だからといってすぐに一般の人々の生活に影響が出るわけではありません。また破綻したリーマンですら、バークレイズや野村に多くの部門が買われ、従業員の多くもそのまま働くことができそうな雰囲気です。
さすがに9月28日(日)に米下院が金融安定化法案を否決した際には、「ひょっとしたら政府が助けてくれないかもしれない」という不安から株式市場はかなり動揺しました。しかしながら、それでもなお「最終的にはなんとかしてくれる」という期待が強いように感じられます。
「恐慌」も十分にありうる
しかし、仮に政府がなんとかしてくれるにせよ、景気はこれからかなり一段と冷え込むことは、もはや確実と思ったほうが良いと筆者は考えています。
キーワードは「ディレバレッジング」です。
世界の金融機関は、特にここ数年、貸し出しを積極的に行い、結果的に経済全体に資金がジャブジャブに溢れた状態になっていました。米国や英国、スペインやアイルランドといった国で不動産市場がバブル化し、それがはじけた今、金融業界はこれだけ大変なことになっています。
その中でも「投資銀行」と呼ばれる「預金を預からず、自身の信用力で調達した資金で投資を行う」いわば巨大なファンドのような金融機関がどんどん肥大化していました。彼らは旺盛に資金を借り入れ、それを積極的に投資しました。こうした一連の動きにより、世界の経済は「レバレッジが高まった状態」、つまり、個人に例えると年収の何十倍もの(少々オーバーですが)お金を借りてそれを不動産投資にまわすような、非常にリスクの高い危険な状態になっていたわけです。
こうしたリスクの高い状態を続けていくことが不可能であることは、この1年の大騒動で火を見るよりも明らかとなり、多くの金融機関が破綻しました。問題は、この「宴の後」が今後実際に普通の人の生活に影響を与える可能性が極めて高いことです。
今後、世界の経済はこれまでのような「レバレッジの高い状態」を解消し、徐々に身の丈にあった状態に戻ってくるものと考えられますが、何事も「ちょうどよい状態」にすぐに戻すのは難しく、おそらくしばらくは「必要以上にリスクを恐れた状態」にまで針が振れるものと思われます。つまり「レバレッジの解消」=「ディレバレッジ」が強力に進み、経済をかなり大きく減速させる可能性があるということです。
「恐慌」・・・そのとき円はどちらに動く?
以上のように、実体経済の状況は、今後「世界恐慌」に近い状態も十分可能性があるといわざるをえないところまできていると思っておいたほうが良いでしょう。
そこで最後の問題です。はたして「恐慌」となった場合、円相場はどちらに動くのでしょうか?円安でしょうか?円高でしょうか?
これは一昔前でしたらほぼ確実に「円高」でした。日本は経常黒字国で、対外純資産が潤沢にあり、恐慌にでもなればリスクを恐れた日本人が世界中から資金を引き上げて、結果として円高になるというシナリオです。
しかし、現在は様相がかなり異なっています。世界中の誰もが、日本人が自分のお金を日本に引き上げても投資先がないことを知っています。恐慌になれば、日本の金利はほぼ間違いなくゼロに戻ります。それでも日本人は日本に資金を戻すのでしょうか?
ここ数週間の金融業界の大混乱の中、日本の金融機関は果敢に海外金融機関への出資を進めています。野村證券は破綻したリーマンのヨーロッパ部門、アジア部門のかなりの部分を買いましたし、三菱東京UFJはモルガン・スタンレーに1兆円近い出資を行い筆頭株主となりました。「金融業界の恐慌」の最中、日本の金融機関は資金を引き上げるどころか、海外投資を積極化しています。
結果として筆者は、円相場はある程度まではいっそうの円高リスクがあるとみていますが、それほど大きなものにもはや発展することはないと見ています。ある程度しばらく我慢する覚悟があるのであれば、中長期的に見て収益の期待できる新興国や、とりあえず金利低下の可能性の高い長期債といったところであれば、十分に買えると考えています。
グローバル債券ファンドマネージャー 鈴木 英寿
提供:株式会社FP総研
おすすめ情報
最新コラム
|
人気ランキング
| コラムタイトル | 平均スコア | |||
| 1. | 本当は怖い“保険料の未納” - 6月5日 | 7.81 | ||
| 2. | 徐々に浸透しつつある「米国経済の真の姿」 - 11月13日 | 7.61 | ||
| 3. | 投資家から忘れられたフィリピンの実力 - 10月30日 | 7.53 | ||
| 4. | 世界を震撼させた-南アフリカ・ランド事件 - 11月5日 | 7.35 | ||
| 5. | 海外勢の円キャリー・トレード激減の影響は? - 11月20日 | 7.19 |
PR
最新コラム
- 今夜の注目材料はこちら☆ - 11月25日
- IMF「ユーロはやや高すぎ」 - 11月25日
- ドル/円相場・昨日の解説と今後の見通し - 11月25日
- 成長は続く?バークシャー・ハサウェイの未来 - 11月25日
- 11月は生命保険を考える月 - 11月25日
住宅・不動産情報
為替ニュース(動画)
MoneyInlineVideoPlayer_MktsumPage
This video requires the Adobe® Flash® Player. Download a free version of the player.
