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大荒れの市場、なぜ相場は急激に変動する?

2008年11月20日

 最近、市場が荒れています。株式市場では「過去○番目の下げ幅、上げ幅」などが新聞を賑わしておりますが、為替相場も急激な円高に襲われています。

 一番イメージしやすいのは企業の想定レートでしょうか。トヨタ・ソニーなどグローバルに展開している企業は、その期の為替レートを想定して経理処理などをしています。そのような会社が想定しているレートよりもかなりの円高が進行しています。「1円円高になることにより○十億円の損失になる」なんてよく耳にしますね。
 今回の為替相場の急激な変動は、サブプライム問題に伴う信用の収縮が原因の一つであるとも言われています。では、信用ってなんでしょうか?

通貨の歴史
 その前に、通貨の歴史を紐解いてみましょう。
 ご存知のとおり、大昔は海で採れた魚と山で採れた木の実などを物々交換することで生活をしていましたが、不便さから、採れた魚などを売り、珍しい貝や希少な石などに換えて保存し、貯めて、持ち歩くことになったのです。これが通貨の始まりです。
 ですが、持ち歩くにも大きいし重たい(ドーナッツ型の石を転がしているイメージです)ことから、金属(特に希少な金銀銅など)を貝や石の代わりとすることとしたのです。金貨などの誕生です。
 その後、時代が流れて、金貨などもやはり磨耗したり、持ち運びに不便だということで、紙切れを発行して、その紙切れさえあればいつでも金などと交換できることとしたのです。紙幣の誕生です。
 政府が発行した紙切れ(紙幣)は、政府がいつでも金と交換できることを保証してくれました。逆に言うと、政府が保有している金の保有高が貨幣の発行限度だったとも言えます(金本位制)。その後、金本位制は廃止され、ドルだけが金との交換を保証してくれる通貨になったのです。ドル以外の通貨は、固定相場でドルと交換することとしたため、円を持っていたら、円→ドル→金と交換することになったのです。
 その後は変動相場制になり、各国の経済力に応じて為替相場が変動することになりましたが、発展途上国などは、まだドルとの固定相場を維持している国があります。固定相場を維持することで、その国の通貨の価値と金とを結びつけ、価値を保証しているのです。

信用創造
 例えば、みなさんが持っている100円を銀行に預けたとします。そのお金は、文字通り「お金」を「融通する機関」である「金融機関(銀行)」を通して、世の中のお金が足りない会社に融資されていきます。では、みなさんの100円がX社に貸し出されたとしましょう。あなたは、いくら持っていますか?銀行に預け入れた(貸し付けた)100円ですね。同様に、銀行は会社に貸し付けた100円を持っています。また、X社は100円を持っています。
 みなさんは、100円の預金があったら、クレジットカードなど100円の買い物ができますよね?X社は実際に100円を持っているので、それで何かを買うことができます。また銀行は、X社へ貸し出した100円を担保に資金調達するかもしれません。
 このように、もともと100円だったものが、形を変えながら市場全体を駆け巡ることによって、300円分のお金が動くのです。これが信用創造です。

信用収縮~サブプライム問題~
 サブプライム問題は、アメリカの住宅ローンを証券化し、それを世界中の金融機関が買っていたことが原因でした。アメリカの国民が金融機関からお金を借りて家を買う。それだけならなんら問題はないのですが、アメリカの金融機関などがそのローンを証券化し、世界中の金融機関やヘッジファンドなどがそれを買い漁ったのです。もともとはローンだけだったのが、証券化(実際には、何層もの証券化)が行われることによって、もともとのローンの何倍もの信用が創造されたのです。
 ですが、地価が上昇していくことを前提に支払い余力がない人にローンを貸していたため、もともとのローンの返済が行き詰ることにより、証券化された金融商品の価値もなくなっていったのです。みんな投資に回す余裕がなくなり、お金を手元に残しているために、市場を回るお金が少なくなったのです。これが信用の収縮です。

 世界的な信用収縮により、形を変えながら世界を巡るお金は極端に少なくなりました。そのため、需要と供給の関係で価格が決まる株式や不動産の価値は減りましたが、みなさんのお財布の現金は減っていませんよね?世界中のお金自体が減ったのではなく、お金が形を変えて作っていた信用が収縮したのです(ここのイメージが難しいところですね)。

信用収縮下において
 世界を支えていた信用が収縮し、市場を流れるお金が少なくなりますので、ちょっとしたお金が動くと相場も急激に変動します。特に、情報が世界を駆け巡る今の時代では、全世界のお金が同じ方向に動くことが少なくありません。そうすると、信用収縮でキャパが小さくなっている市場でお金が動くので、今まで以上に急激な相場の変動が起こりやすくなるのです。
 市場の変動幅のことを「ボラリティ」と呼びます。最近は、そのボラリティが大きくなってきているのが現状です。

実際の価格変動
 実際の価格変動のリスクについては、細かく計算する方法があるのですが、ここでは簡単にイメージだけ持ってみましょう。
 一般的には、100万円を投資したら株式なら15~30%、為替なら10~15%、債券なら1~5%の値下がりリスクがあると言われています(標準偏差が10%、投資期間1年の場合)。「株は0円になるから心配だ」など、心配される方もいらっしゃるのですが、簡単に倍にはならないように、簡単に半額にもならないのです(もちろん、分散投資などリスクを分散させた場合の平均値です)。

最近の相場
 ですが、これもやはり理論上のお話で、最近の相場はボラリティが大きいので、今まで考えられないようなことが普通に起こりえます。実際に、株式市場には数十年に一度の暴落と言われた「暗黒の月曜日」に匹敵する暴落に襲われています。理論的には、そういうレベルの変動は万が一でも起こらないものですが、今は千が一、それ以下のレベルに来ているのです。

 例えば、一年に市場が開かれるのが200日として、万が一であれば、50年(50年×200日地=10,000日)に一度は予想もしない大暴落にあい、財産のかなりに傷をうけるとしましょう。投資効率をあげるために、借り入れなどでレバレッジをきかせている人は自己破産をする方などもいるでしょう。
 30歳から退職の60歳まで投資をしたとすれば約30年ですから、50年に一度の大暴落は一生のうちに一度会うか会わないか、そんな確率です。
 ですが、万が一でなく、千が一のレベルになると、5年(5年×200日=1,000日)に一度はそういう目にあってもおかしくないのです。こう考えると、リスクの高さがイメージできるかもしれません。

 これらの難しい確率の計算は、高度な数学などを使った金融工学という分野の学問です。実際、ノーベル賞をとったりした学者もいますが、金融工学の確率の範疇を超える、何年に一度、いや何十年に一度かの特別な状況と言えるのです。
 これをリスクと捕らえるか、チャンスと捕らえるかはあなた次第かと思います。ですが、リスクへの対処だけは忘れずに!レバレッジなどを利かせた投資で、人生を棒にふるような投資(投機)はやめておきましょう。

コラムニスト 横山 劉仁
提供:株式会社FP総研


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