根本的な「ドル安円高」の流れは変わらない
2009年10月20日「防戦のドル買い」
9月25日のニューヨーク市場で、ドル/円相場が7カ月半ぶりに89円台をつけて以来、ドル/円相場は2週間以上、1ドル80円台後半で推移しました。
10月に入って、88円割れをトライし、87円台後半を見ましたが、いわゆる「防戦のドル買い」に阻まれて、それ以上の円高水準を見ていません。
年初来のドル/円の安値は、[87.00-10]水準です。この水準を割り込むと、「損切りのドル売り円買い」を誘発してドル/円の下落が加速する可能性があります。
当然ながら、多くの市場参加者は、そういった「相場のクセ」を知っています。だから、87円台になると、「損切りのドル売り円買い」を誘発しないように、未然に行動を取る(=87円台への下落が定着しないようにドル/円を買う)大口の市場参加者が存在しています。そういった「ドル買い」を、「防戦のドル買い」と呼びます。
9月下旬から、ドル/円水準は90円台を割り込んだのは上述の通りですが、10月中旬になると、10月12日月曜日が、東京市場とニューヨーク市場が休場で、その間に、久しぶりに一時90円台に乗せています。
しかし、概してドル安円高水準にとどまっている、と言えます。
今回の円高は日本の財務大臣発?
今回の急激な円高は、藤井財務相が金融サミット開幕前の9月24日にガイトナー米財務長官と初めて会談し、「円安政策をとらない」と為替介入に否定的と取れる発言を藤井財務相がしために、それ以前から続いていた円高の流れを加速させたことで、「ドル売り円買い」が起こった、と解釈されました。
その後藤井財務相は、「異常な事態になれば色々あり得る」と発言を修正したのですが、それはともかく、藤井発言が「円高の流れを加速させた」という解釈は正しいのでしょうか?
為替相場は複雑な要因が影響し合って形成されていくので、日本の財務大臣の発言がまったく影響しなかったと言い切ることはできませんが、「円高の流れを加速させた」というほどの影響力ではなかったと考えています。
二つの流れ
今回の円高を整理してみましょう。
二つの流れが影響し合って形成されたことが分かると思います。
まずひとつ目の大きな流れとして、外国為替市場全体で、ドル売り圧力による「ドル安」がありました。
ドルは対ユーロや、対豪ドルなどでも「ドル安傾向」に推移しています。その流れの中で、ドル/円も「ドル安円高傾向」を強めていました。
もうひとつの流れはドルが絡まないクロス円の動きです。
ポンド/円の下落が先行して始まり、ユーロ/円、豪ドル/円など他のクロス円に飛び火して、クロス円全体に売り圧力がかかりました。
ここで二つの流れが影響し合います。
とりわけクロス円の売り圧力がドル/円相場に強く影響を与え、ドル売り圧力を加速させて、今回の円高が形成されたというわけです。
米国政府による必死の景気対策のために、ドルは市場で余剰となり、じゃぶじゃぶの状態です。
米国の株式市場や債券市場が好調なのは、大量に吐き出されたドルが景気対策に向かわずに、株や債券や米国外の投資先へ向かっていることを示しています。
この構造が変わらない限りドル売り圧力は続き、今後しばらくは一時的な調整が起こるとしても、ドル安の大きな流れは変わらない、と考えています。
リバウンドは本物か
先週の後半あたりから、ドル/円は90円台を回復し、91円台も見ています。まさに一時的な調整が起こりだした可能性はあります。
このドル/円のリバウンド(上昇)では、クロス円の上昇が影響しています。ドル/円下落時の逆の現象が起こった、と言えるでしょう。
俯瞰してみれば、8月上旬には、ドル/円は97円台後半にあったのですから、約2カ月で約10円のドル安円高が進んだことになります。
短期間で、約10円の急落ですから、むしろ、調整のリバウンドがある方が、相場としては自然です。
しかし、調整のリバウンドがあっても、上述の通りに、『低金利のドルが余剰になっている構造が続く以上は、根本的な「ドル安円高」の流れも変わらない』と判断することは、もっと自然な結論だ、と考えます。
(2009年10月19日東京時間23:00記述)
9月25日のニューヨーク市場で、ドル/円相場が7カ月半ぶりに89円台をつけて以来、ドル/円相場は2週間以上、1ドル80円台後半で推移しました。
10月に入って、88円割れをトライし、87円台後半を見ましたが、いわゆる「防戦のドル買い」に阻まれて、それ以上の円高水準を見ていません。
年初来のドル/円の安値は、[87.00-10]水準です。この水準を割り込むと、「損切りのドル売り円買い」を誘発してドル/円の下落が加速する可能性があります。
当然ながら、多くの市場参加者は、そういった「相場のクセ」を知っています。だから、87円台になると、「損切りのドル売り円買い」を誘発しないように、未然に行動を取る(=87円台への下落が定着しないようにドル/円を買う)大口の市場参加者が存在しています。そういった「ドル買い」を、「防戦のドル買い」と呼びます。
9月下旬から、ドル/円水準は90円台を割り込んだのは上述の通りですが、10月中旬になると、10月12日月曜日が、東京市場とニューヨーク市場が休場で、その間に、久しぶりに一時90円台に乗せています。
しかし、概してドル安円高水準にとどまっている、と言えます。
今回の円高は日本の財務大臣発?
今回の急激な円高は、藤井財務相が金融サミット開幕前の9月24日にガイトナー米財務長官と初めて会談し、「円安政策をとらない」と為替介入に否定的と取れる発言を藤井財務相がしために、それ以前から続いていた円高の流れを加速させたことで、「ドル売り円買い」が起こった、と解釈されました。
その後藤井財務相は、「異常な事態になれば色々あり得る」と発言を修正したのですが、それはともかく、藤井発言が「円高の流れを加速させた」という解釈は正しいのでしょうか?
為替相場は複雑な要因が影響し合って形成されていくので、日本の財務大臣の発言がまったく影響しなかったと言い切ることはできませんが、「円高の流れを加速させた」というほどの影響力ではなかったと考えています。
二つの流れ
今回の円高を整理してみましょう。
二つの流れが影響し合って形成されたことが分かると思います。
まずひとつ目の大きな流れとして、外国為替市場全体で、ドル売り圧力による「ドル安」がありました。
ドルは対ユーロや、対豪ドルなどでも「ドル安傾向」に推移しています。その流れの中で、ドル/円も「ドル安円高傾向」を強めていました。
もうひとつの流れはドルが絡まないクロス円の動きです。
ポンド/円の下落が先行して始まり、ユーロ/円、豪ドル/円など他のクロス円に飛び火して、クロス円全体に売り圧力がかかりました。
ここで二つの流れが影響し合います。
とりわけクロス円の売り圧力がドル/円相場に強く影響を与え、ドル売り圧力を加速させて、今回の円高が形成されたというわけです。
米国政府による必死の景気対策のために、ドルは市場で余剰となり、じゃぶじゃぶの状態です。
米国の株式市場や債券市場が好調なのは、大量に吐き出されたドルが景気対策に向かわずに、株や債券や米国外の投資先へ向かっていることを示しています。
この構造が変わらない限りドル売り圧力は続き、今後しばらくは一時的な調整が起こるとしても、ドル安の大きな流れは変わらない、と考えています。
リバウンドは本物か
先週の後半あたりから、ドル/円は90円台を回復し、91円台も見ています。まさに一時的な調整が起こりだした可能性はあります。
このドル/円のリバウンド(上昇)では、クロス円の上昇が影響しています。ドル/円下落時の逆の現象が起こった、と言えるでしょう。
俯瞰してみれば、8月上旬には、ドル/円は97円台後半にあったのですから、約2カ月で約10円のドル安円高が進んだことになります。
短期間で、約10円の急落ですから、むしろ、調整のリバウンドがある方が、相場としては自然です。
しかし、調整のリバウンドがあっても、上述の通りに、『低金利のドルが余剰になっている構造が続く以上は、根本的な「ドル安円高」の流れも変わらない』と判断することは、もっと自然な結論だ、と考えます。
(2009年10月19日東京時間23:00記述)
松田トラスト&インベストメント株式会社
代表取締役 松田 哲
提供:有限会社イマジネーション
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