目に見える財務諸表、どこまで信じて良いの?
2008年10月14日 ここのところ株価がすごいことになっていますね。毎日のように「○年○ヶ月ぶりの安値」というニュースを目にします。
執筆時点で日経平均は1万円を切っていますが、今後も下がり続けるのか、それとも何かを転機にあがっていくのか、みなさんはどう考えますか?
識者と言われる方々の予想を見てみると「あと10年は低迷が続く」という人もいれば、「来週には反転する」という人もいます。全くわかりませんね。また、証券会社や銀行などの金融機関関係の方々は、ポジショントーク(自分の置かれる立場上、言いたいことが言えない)という事もありますから、予想自体、当てにいっているのかどうかもわからないものです。
こんな時には、どのような投資をするのが良いのでしょうか?
株価は、その会社の将来の期待を表したものです。将来、どれくらいの稼ぎがあるかを予測して株を買うわけですから、まず予測しなければいけないのは、将来の利益(=稼ぎ)です。ですが、このように市場が冷え切っている現状では、利益の予測は難しいですね。特に、日本の企業はいつも保守的で、利益を控えめに予測していますが、それでも今期は企業の下方修正が相次ぐでしょう。当事者である企業も予測できないのですから、私たちが簡単に予測できるわけがありません。
PERとPBR
さて、株式投資の指標の代表的なものに、PERとPBRがあります。
ご存知かと思いますが、PERとは、株価が一株あたりの利益の何倍かを表し、PBRとは一株あたりの企業の価値を表します。今のような状況では利益の予測が難しいので、今回は利益を指標としたPERではなく、純資産を指標としたPBRに視点を置いて投資を考えてみましょう。
PBRの簡単な復習です。
100円の価値がある会社の株価が100円であれば、PBRは1倍。その会社が人気のある会社で、株価が150円、200円である場合には、PBRはそれぞれ1.5倍、2倍となります。この数値は低ければ低いほど、割安ということになります。理論上は、PBRが1倍を下回った会社であれば、その株式を全て買い占めた上で、会社を全て売り払い現金化すると、儲かることになります。例えばPBRが0.8倍の場合には、100円の価値がある会社が、80円で売られているわけですから。
ですが、低ければ良いというわけではありません。
例えば、不動産関連株は、PBRが0.01倍なんていうものもあります。100円の価値がある会社が1円で売られているわけです。ですが、この場合には本当にその会社に100円の価値があるかどうかを疑わなければいけません。
個人に置き換えると?
そう考えるとなんか難しくなってきましたね。なんでこんなことが起きるのでしょうか。それは、会社の価値の判断方法にいろいろな方法があるからです。会社の価値というと難しいので、個人に置き換えて考えてみましょう。みなさんの資産価値を計算するためには、
(1)預金・家などの資産価値のあるものから、ローンなどの負債を差し引きます。
(2)ローンなどの負債は景気などに変動があっても変わりませんが、家や車は売却価額が絶えず変動しています。
(3)ですので、正確にみなさんの資産価値を計算するのであれば、家や車の価値を算定しなければいけません。
会社も全く同じで、
(1)会社の価値は「資産-負債」で計算します。
(2)負債の金額は景気による影響がほとんどありませんが、資産の価値は景気によって変動があります。
(3)よって、会社の資産を計算する必要があります。
固定資産の価値
資産は現金や預金のように価値が変わらないものと、建物や車両のように価値が変わるものがあります。
例えばオープンカー。北海道で売るのと、沖縄で売るのでは同じオープンカーでも、売れる金額が違いますよね?このように、固定資産は使い方によって価値が異なります。具体的に言うと、工場の価値は、その工場で作る製品の売れ行きによって異なってくるのです。
こんな時代ですから、景気が悪化していくことにより、実は工場の建物、機械、工具、器具、備品、車両などの価値が下がっているのです。みなさんが見る会計データに載っている建物や車などの固定資産は、きちんと景気の悪化を表しているものでしょうか?それを表していないと、PBRが0.01倍という不動産関連株のような株も存在してしまいます。
でもみなさんは騙されませんよね?不動産の価値が下落しているけれど、今はそれがまだ表にでてきていないだけ、というのを読み取らなければいけません。
繰延税金資産
固定資産だけではありません。りそな銀行や足利銀行が国有化された原因を知っていますか?それは「繰延税金資産」というくせ者です。「資産」という名前がついていますが、売ろうと思っても売れない資産で、厄介なものです。
企業が持っている資産には、現金・預金・株式・建物・車両・貸付金などいろいろなものがありますが、これらはみなさんもらったら嬉しいですよね?持っていたら財産になるもので、換金しようと思ったら換金できますよね?でも、繰延税金資産は同じ資産なのにちょっと違います。
みなさん「あ~ボーナスで繰延税金資産を買いたいなぁ」なんて思いませんよね?繰延税金資産は、実は将来黒字になった時に初めて資産価値が出てくるもので、将来の利益の見通しによって、金額が小さくなる場合があります。考え方はとても難しいので、あまり細かくは触れませんが、売ろうと思っても売れないくせ者の資産だということ、この資産が多くを占める会社は、実際にはあまり財産価値がないというイメージを持っておきましょう。
PERやPBRなどの指標を参考にするのも有効な一つの方法です。会計データは、公認会計士や監査法人と言われるプロ中のプロのチェックを受けているものですが、やはりその基礎になるデータは、会社が作成しているものですので、今のように何が起こるかわからない状況では、利益が当初の見込みと異なることにより、会計の数値が大幅に変わる可能性を秘めています。
利益の予測が難しい状況では、不安を抱えたまま投資をする方も増える傾向にあると言われていますが、投資の大原則である「わからないものは買わない」という原点にもう一度立ち返って、一か八かの勝負にならないように気をつけていきましょう。
執筆時点で日経平均は1万円を切っていますが、今後も下がり続けるのか、それとも何かを転機にあがっていくのか、みなさんはどう考えますか?
識者と言われる方々の予想を見てみると「あと10年は低迷が続く」という人もいれば、「来週には反転する」という人もいます。全くわかりませんね。また、証券会社や銀行などの金融機関関係の方々は、ポジショントーク(自分の置かれる立場上、言いたいことが言えない)という事もありますから、予想自体、当てにいっているのかどうかもわからないものです。
こんな時には、どのような投資をするのが良いのでしょうか?
株価は、その会社の将来の期待を表したものです。将来、どれくらいの稼ぎがあるかを予測して株を買うわけですから、まず予測しなければいけないのは、将来の利益(=稼ぎ)です。ですが、このように市場が冷え切っている現状では、利益の予測は難しいですね。特に、日本の企業はいつも保守的で、利益を控えめに予測していますが、それでも今期は企業の下方修正が相次ぐでしょう。当事者である企業も予測できないのですから、私たちが簡単に予測できるわけがありません。
PERとPBR
さて、株式投資の指標の代表的なものに、PERとPBRがあります。
ご存知かと思いますが、PERとは、株価が一株あたりの利益の何倍かを表し、PBRとは一株あたりの企業の価値を表します。今のような状況では利益の予測が難しいので、今回は利益を指標としたPERではなく、純資産を指標としたPBRに視点を置いて投資を考えてみましょう。
PBRの簡単な復習です。
100円の価値がある会社の株価が100円であれば、PBRは1倍。その会社が人気のある会社で、株価が150円、200円である場合には、PBRはそれぞれ1.5倍、2倍となります。この数値は低ければ低いほど、割安ということになります。理論上は、PBRが1倍を下回った会社であれば、その株式を全て買い占めた上で、会社を全て売り払い現金化すると、儲かることになります。例えばPBRが0.8倍の場合には、100円の価値がある会社が、80円で売られているわけですから。
ですが、低ければ良いというわけではありません。
例えば、不動産関連株は、PBRが0.01倍なんていうものもあります。100円の価値がある会社が1円で売られているわけです。ですが、この場合には本当にその会社に100円の価値があるかどうかを疑わなければいけません。
個人に置き換えると?
そう考えるとなんか難しくなってきましたね。なんでこんなことが起きるのでしょうか。それは、会社の価値の判断方法にいろいろな方法があるからです。会社の価値というと難しいので、個人に置き換えて考えてみましょう。みなさんの資産価値を計算するためには、
(1)預金・家などの資産価値のあるものから、ローンなどの負債を差し引きます。
(2)ローンなどの負債は景気などに変動があっても変わりませんが、家や車は売却価額が絶えず変動しています。
(3)ですので、正確にみなさんの資産価値を計算するのであれば、家や車の価値を算定しなければいけません。
会社も全く同じで、
(1)会社の価値は「資産-負債」で計算します。
(2)負債の金額は景気による影響がほとんどありませんが、資産の価値は景気によって変動があります。
(3)よって、会社の資産を計算する必要があります。
固定資産の価値
資産は現金や預金のように価値が変わらないものと、建物や車両のように価値が変わるものがあります。
例えばオープンカー。北海道で売るのと、沖縄で売るのでは同じオープンカーでも、売れる金額が違いますよね?このように、固定資産は使い方によって価値が異なります。具体的に言うと、工場の価値は、その工場で作る製品の売れ行きによって異なってくるのです。
こんな時代ですから、景気が悪化していくことにより、実は工場の建物、機械、工具、器具、備品、車両などの価値が下がっているのです。みなさんが見る会計データに載っている建物や車などの固定資産は、きちんと景気の悪化を表しているものでしょうか?それを表していないと、PBRが0.01倍という不動産関連株のような株も存在してしまいます。
でもみなさんは騙されませんよね?不動産の価値が下落しているけれど、今はそれがまだ表にでてきていないだけ、というのを読み取らなければいけません。
繰延税金資産
固定資産だけではありません。りそな銀行や足利銀行が国有化された原因を知っていますか?それは「繰延税金資産」というくせ者です。「資産」という名前がついていますが、売ろうと思っても売れない資産で、厄介なものです。
企業が持っている資産には、現金・預金・株式・建物・車両・貸付金などいろいろなものがありますが、これらはみなさんもらったら嬉しいですよね?持っていたら財産になるもので、換金しようと思ったら換金できますよね?でも、繰延税金資産は同じ資産なのにちょっと違います。
みなさん「あ~ボーナスで繰延税金資産を買いたいなぁ」なんて思いませんよね?繰延税金資産は、実は将来黒字になった時に初めて資産価値が出てくるもので、将来の利益の見通しによって、金額が小さくなる場合があります。考え方はとても難しいので、あまり細かくは触れませんが、売ろうと思っても売れないくせ者の資産だということ、この資産が多くを占める会社は、実際にはあまり財産価値がないというイメージを持っておきましょう。
PERやPBRなどの指標を参考にするのも有効な一つの方法です。会計データは、公認会計士や監査法人と言われるプロ中のプロのチェックを受けているものですが、やはりその基礎になるデータは、会社が作成しているものですので、今のように何が起こるかわからない状況では、利益が当初の見込みと異なることにより、会計の数値が大幅に変わる可能性を秘めています。
利益の予測が難しい状況では、不安を抱えたまま投資をする方も増える傾向にあると言われていますが、投資の大原則である「わからないものは買わない」という原点にもう一度立ち返って、一か八かの勝負にならないように気をつけていきましょう。
コラムニスト 横山 劉仁
提供:株式会社FP総研
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