M&Aでますます高まる「時価総額」の重要性
2007年05月29日企業の「時価総額」はとても重要
日本の株式市場では、相変わらずM&Aに関連したニュースが飛び込んでいます。国内企業同士ではHOYAのペンタックスに対するTOBが話題になっていますし、海外ファンドがらみでは、スティール・パートナーズなどが日本の上場企業に対して次々とTOBを仕掛ける構えを見せています。
TOBに限らず、合併などを含めた企業買収においては、多くの場合、「大きい企業」が「小さい企業」を買収することになります。
ここでいう「大きい」「小さい」という規模を測る尺度として、一般に「時価総額」というものが使われているのです。
時価総額とは、「発行済株式総数×株価」によって求めることができます。これが、各企業の企業価値とされます。
例えば、発行済株式総数2億株、株価250円のA社であれば、2億株×250円=500億円が時価総額です。
仮にある企業を買収して子会社化しようとするならば、買収対象とする企業の株式の過半数を取得する必要があります。ですから、上のA社を買収しようとすれば、最低でも250億円を超す金額が必要となります。
また、合併や株式交換という方法を用いて買収するのであれば、自社の株式を買収対象企業の株主に渡せばよいので資金は必要ありませんが、買収価額に相当するだけの自社の株式を、新株発行などにより準備しなければなりません。
新株発行するとどうなる?
新株発行を行うと、一般的には「希薄化」により、1株当たり純資産や1株当たり利益が低下し、投資対象としての魅力が薄れ、株価の下落要因となります。
例えば、上のA社が、発行済株式総数5000万株、株価100円のB社を株式交換する場合、現在の株価水準で交換比率を算定すれば、A社がB社の株主に交付するために必要なA社の新株は(5,000万株×100円)÷250円=2000万株です。株式交換によってA社の発行済株式数は10%増える計算となりますから、B社の利益や純資産がA社のそれと比べて10%未満しかない場合には、一般的にはA社の1株当たり利益や1株当たり純資産の数値は低下し、既存のA社株主にとっては、将来的にはともかく目先はマイナスの要因となります。
では上記の例で、B社の株価が50円だとすればどうでしょうか。この場合、A社が発行すべき新株は、(5,000万株×50円)÷250円=1000万株となり、A社の発行済株式数の増加は5%で済むことになります。
株式交換で買収する側にとっては、新たに発行を要する新株は少なければ少ないほど、希薄化により既存株主に与える影響が小さくなるため有利なのです。
時価総額を上昇させる方法はあるの?
このように、企業にとっては、時価総額が小さければ小さいほど、他の企業からみれば少ない資金や自社株式によって買収できることになりますから、より買収されやすいという状態になります。
そのため、時価総額をいかに上昇させるかということが、自社を買収の脅威から守り、企業防衛を行うためには非常に重要になるのです。
この時価総額を、例えばアメリカと日本のトップ企業同士で比較すると、実は日本のトップ企業はアメリカのトップ企業の何分の1、業種によっては何十分の1という水準にとどまっているのです。
つまり、外国企業による日本企業への三角合併が解禁となった現在、日本のトップ企業であっても、さらに時価総額を上昇させて、外国企業からの買収を食い止めることが必要になっているということです。
時価総額は、「発行済株式総数×株価」で表されるわけですから、時価総額を拡大させるには、発行済株式総数を増やすか、株価を上昇させることが必要となります。ライブドアを初め、一時期はやったのは、株式分割を行って発行済株式総数を増やす方法です。理論的には株式分割により発行済株式総数を増加させても、それに応じて株価も下がるはずなので、時価総額には影響を与えないのですが、実際は、株価が下がって投資家が買いやすくなるなどのプラス効果によって、結果として時価総額を押し上げることができました。しかし、この方法も過度に行き過ぎた株式分割を抑制するためのルール整備が進んだため、時価総額をアップさせる方法としてはほとんど使われなくなりました。
時価総額拡大策として最近使われることの多いのは、配当の増額と自社株買いです。配当を増やせば、配当利回りが上昇し、株価の上昇につながりますし、自社株買いを行えば、PER(株価収益率)やROE(自己資本利益率)などの指標が改善し、それが株価の上昇を導くことになります。
しかし、配当の増額や自社株買いも、一時的には効果があるでしょうが、配当の支払や自社株買いには資金が必要です。利益があまりあがらない状態で、いつまでも利益の額に見合わないような多額の配当や自社株買いをしていれば、会社に資金がなくなってしまいます。
結局は、時価総額を拡大するためには、企業の業績を向上させて、自然体で株価を上昇させていくことが必要になってくるのです。
今後の傾向
最近は企業の経営者も時価総額の重要性に気付いており、決算発表やIRの場などにおいて、経営目標の1つとして「時価総額の拡大」を挙げることが多くなっています。
「時価総額」とは、言い換えれば「企業の魅力」です。業績の向上が期待でき、将来性もあるような、魅力ある企業の株価は上昇し、それに伴って時価総額も自然に拡大していくものです。
われわれ個人投資家にとっても、企業防衛のためにやみくもに「時価総額の拡大」だけを急ぐ企業ではなく、業績の向上による株価上昇を通じて、いわば「後から時価総額が自然に拡大していく」ことが期待できるような企業を探し出すことが求められているのではないでしょうか。
日本の株式市場では、相変わらずM&Aに関連したニュースが飛び込んでいます。国内企業同士ではHOYAのペンタックスに対するTOBが話題になっていますし、海外ファンドがらみでは、スティール・パートナーズなどが日本の上場企業に対して次々とTOBを仕掛ける構えを見せています。
TOBに限らず、合併などを含めた企業買収においては、多くの場合、「大きい企業」が「小さい企業」を買収することになります。
ここでいう「大きい」「小さい」という規模を測る尺度として、一般に「時価総額」というものが使われているのです。
時価総額とは、「発行済株式総数×株価」によって求めることができます。これが、各企業の企業価値とされます。
例えば、発行済株式総数2億株、株価250円のA社であれば、2億株×250円=500億円が時価総額です。
仮にある企業を買収して子会社化しようとするならば、買収対象とする企業の株式の過半数を取得する必要があります。ですから、上のA社を買収しようとすれば、最低でも250億円を超す金額が必要となります。
また、合併や株式交換という方法を用いて買収するのであれば、自社の株式を買収対象企業の株主に渡せばよいので資金は必要ありませんが、買収価額に相当するだけの自社の株式を、新株発行などにより準備しなければなりません。
新株発行するとどうなる?
新株発行を行うと、一般的には「希薄化」により、1株当たり純資産や1株当たり利益が低下し、投資対象としての魅力が薄れ、株価の下落要因となります。
例えば、上のA社が、発行済株式総数5000万株、株価100円のB社を株式交換する場合、現在の株価水準で交換比率を算定すれば、A社がB社の株主に交付するために必要なA社の新株は(5,000万株×100円)÷250円=2000万株です。株式交換によってA社の発行済株式数は10%増える計算となりますから、B社の利益や純資産がA社のそれと比べて10%未満しかない場合には、一般的にはA社の1株当たり利益や1株当たり純資産の数値は低下し、既存のA社株主にとっては、将来的にはともかく目先はマイナスの要因となります。
では上記の例で、B社の株価が50円だとすればどうでしょうか。この場合、A社が発行すべき新株は、(5,000万株×50円)÷250円=1000万株となり、A社の発行済株式数の増加は5%で済むことになります。
株式交換で買収する側にとっては、新たに発行を要する新株は少なければ少ないほど、希薄化により既存株主に与える影響が小さくなるため有利なのです。
時価総額を上昇させる方法はあるの?
このように、企業にとっては、時価総額が小さければ小さいほど、他の企業からみれば少ない資金や自社株式によって買収できることになりますから、より買収されやすいという状態になります。
そのため、時価総額をいかに上昇させるかということが、自社を買収の脅威から守り、企業防衛を行うためには非常に重要になるのです。
この時価総額を、例えばアメリカと日本のトップ企業同士で比較すると、実は日本のトップ企業はアメリカのトップ企業の何分の1、業種によっては何十分の1という水準にとどまっているのです。
つまり、外国企業による日本企業への三角合併が解禁となった現在、日本のトップ企業であっても、さらに時価総額を上昇させて、外国企業からの買収を食い止めることが必要になっているということです。
時価総額は、「発行済株式総数×株価」で表されるわけですから、時価総額を拡大させるには、発行済株式総数を増やすか、株価を上昇させることが必要となります。ライブドアを初め、一時期はやったのは、株式分割を行って発行済株式総数を増やす方法です。理論的には株式分割により発行済株式総数を増加させても、それに応じて株価も下がるはずなので、時価総額には影響を与えないのですが、実際は、株価が下がって投資家が買いやすくなるなどのプラス効果によって、結果として時価総額を押し上げることができました。しかし、この方法も過度に行き過ぎた株式分割を抑制するためのルール整備が進んだため、時価総額をアップさせる方法としてはほとんど使われなくなりました。
時価総額拡大策として最近使われることの多いのは、配当の増額と自社株買いです。配当を増やせば、配当利回りが上昇し、株価の上昇につながりますし、自社株買いを行えば、PER(株価収益率)やROE(自己資本利益率)などの指標が改善し、それが株価の上昇を導くことになります。
しかし、配当の増額や自社株買いも、一時的には効果があるでしょうが、配当の支払や自社株買いには資金が必要です。利益があまりあがらない状態で、いつまでも利益の額に見合わないような多額の配当や自社株買いをしていれば、会社に資金がなくなってしまいます。
結局は、時価総額を拡大するためには、企業の業績を向上させて、自然体で株価を上昇させていくことが必要になってくるのです。
今後の傾向
最近は企業の経営者も時価総額の重要性に気付いており、決算発表やIRの場などにおいて、経営目標の1つとして「時価総額の拡大」を挙げることが多くなっています。
「時価総額」とは、言い換えれば「企業の魅力」です。業績の向上が期待でき、将来性もあるような、魅力ある企業の株価は上昇し、それに伴って時価総額も自然に拡大していくものです。
われわれ個人投資家にとっても、企業防衛のためにやみくもに「時価総額の拡大」だけを急ぐ企業ではなく、業績の向上による株価上昇を通じて、いわば「後から時価総額が自然に拡大していく」ことが期待できるような企業を探し出すことが求められているのではないでしょうか。
公認会計士・税理士・AFP 足立武志
提供:株式会社FP総研
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