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不景気でも上昇の期待が持てる株式って?

2008年09月02日

 軟調な動きが続く日本の株式市場。最近良く耳にする「ディフェンシブ銘柄」、いったいどんな銘柄なのでしょうか?

 以前、このコラム「景気が悪くても株価は上がる?」で、景気が悪くとも株価が上昇するケースとして、「金融相場」というものをご紹介しました。この「金融相場」は、「不景気の株高」とも呼ばれ、景気の実態はまだまだ悪いものの、政府の打ち出す金融緩和策をはじめとした景気対策などにより、将来の景気回復を先取りする形で株価が上昇するものです。

「ディフェンシブ銘柄」って?
  さて、金融相場では、日経平均株価、TOPIXといった株価指標をはじめとして、相場全体が上昇することになりますが、景気が悪く相場全体が軟調な中で、堅調な株価の動きを示す銘柄があります。これが一般に「ディフェンシブ銘柄」と呼ばれるものです。
 ディフェンシブ銘柄とは、景気の変動に業績が左右されにくい、安定性の高い銘柄を指します。業種としては、食品、薬品、電力、ガス、通信、鉄道といったものが該当します。

「ディフェンシブ銘柄」の特徴は?
 では、なぜ景気が悪く株式市場が低迷しているときに、ディフェンシブ銘柄の株価は堅調な動きとなるのでしょうか?これは、ディフェンシブ銘柄がいわば資金の「緊急避難場所」の意味合いを持つためです。

 株式市場には、様々な投資家の資金が流れ込んでいます。その中には、投資信託の運用資金や、公的年金・企業年金の運用資金などのように、株式市場の状況がいかに悪くとも、一定の金額を日本株により運用しなければならない、という資金も相当額含まれています。
 こうした資金を運用する立場からすれば、今後景気の悪化が見込まれ株価も下落する可能性が高いのに、景気の動きと業績の連動性が高く、業績が悪くなりそうな銘柄を保有していれば、運用成績が悪くなってしまう、と懸念するでしょう。
 そこで、景気が悪化しても業績に大きな影響がないディフェンシブ銘柄に資金をシフトして、運用成績の悪化を少しでも食い止めようとしているのです。

 政府もついに、日本経済が景気後退局面に入ったことを認めましたが、株式投資では、政府による景気回復や景気後退の発表を待って投資行動を決めているのでは遅すぎます。
 そんなとき、景気悪化による全体相場下落のサインとして、ディフェンシブ銘柄の株価の動きに注目するのです。
 ここ最近の動きでみれば、例えばJR東海の株価は、今年1月の安値から上昇を続けていますし、NTTやハウス食品も3月の安値から順調に上昇しています。多くの個別銘柄の株価が、今年3月に日経平均株価が安値をつけたあとも低迷や下落基調が続く中、ディフェンシブ銘柄の株価の堅調さが目立っています。

 また、ディフェンシブ銘柄は、株価の変動幅が小さいという特徴もあります。「業績の安定性」という特徴から、どちらかといえば消極的に買われる面が多いため、株価の上値を追ってまで買い続ける投資家もいない反面、株価が下がったら割安面に注目して下値を拾う投資家の存在から、株価が短期間で何倍、もしくは何分の1になる、ということは少ないのです。
 例えば、日清食品やJR東日本のここ1年間の株価の動きをみますと、大きく値上がりすることもなく、かといって急激な値下がりもない、比較的安定した動きになっていることがわかります。

「ディフェンシブ銘柄」で気をつけることは?
 相場全体が下落基調であれば、ディフェンシブ銘柄であっても下落することは往々にしてあります。そのため、「ディフェンシブ銘柄を買っておけば、景気悪化による相場下落時にも株価が上昇して安心」、というわけには残念ながらいきません。ただ、下落した場合でも他の銘柄に比べて下落幅が小さく済む可能性が高いことはいえます。
 また、ディフェンシブ銘柄もいつまでも安泰、というわけにはいきません。業界をとりまく環境の変化などにより、業績が悪化する可能性もあるからです。
 例えば電力株は、原油価格の高騰により、東京電力をはじめ、多くの銘柄が経常赤字に陥りました。そのため、東京電力は2007年の高値から1年余りで株価が半値近くまで下がってしまいました。
 赤字続きなど、業績が良くない会社は、たとえディフェンシブ業種であっても、株価は低迷してしまう可能性が高くなります。

 その一方で、最近は、ディフェンシブ銘柄の「業績向上」にも注目が集まっています。例えば、食品会社の相次ぐ値上げは消費者にとっては頭が痛いですが、会社にとっては業績アップにつながることもあります。また、電力各社も料金の値上げを発表しており、先の東京電力も、7月に入ってからは今後の業績回復期待により株価は上昇に転じています。
 このように、ディフェンシブ銘柄に投資するときも、他の銘柄に投資する際と同様に、業績の変化には気を配っておく必要はあります。

 ここ最近は、相場全体が軟調な中、NTTや東京電力などが逆行高の動きを見せています。このことが株式市場全体のどんな将来を示唆しているのかは、現時点では分かりませんが、少なくとも、ディフェンシブ銘柄が活躍しているときは、短期的には全体相場の下落には注意しておいたほうがよさそうです。

「ディフェンシブ銘柄」の動きに注目!!
 我々個人投資家としては、ディフェンシブ銘柄の動きで、株式市場全体の動きを占うことが、有効な活用法といえるでしょう。ディフェンシブ銘柄の動きが強ければ相場全体は調整局面、逆にディフェンシブ銘柄が弱い動きになれば相場全体は上昇基調、といった予測が可能となります。
 そして、ディフェンシブ銘柄で、なおかつ今後の業績の向上が期待できるものを見つけて、それに投資するのも一法です。このような銘柄は、たとえ全体相場が下落局面にあっても、「ディフェンシブ面」と「業績面」の両方で評価され、逆行高を演じる可能性も大いにあるからです。

 反転上昇のタイミングを見極めるために、ディフェンシブ銘柄の値動きに注目してみてください。

公認会計士・税理士・AFP 足立武志
提供:株式会社FP総研



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