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株式市場のパニック収束!?今後の展開は

2008年10月22日

「公的資金注入」でパニックは収束
 リーマン・ブラザーズ破綻に端を発する株式市場の「パニック的」急落は、10月8日の「協調利下げ」と、それからほどなく欧米で相次いで発表された「公的資金注入」でとりあえず収まりました。

 結論から先に申し上げますが、今回の株式市場の下げが単なる「パニック」なのか、それとも「百年に一度の構造変化」なのか見極めることは現時点ではできません。両方とも可能性があります。仮にパニックなのであれば、とりあえずパニックは収束して今後は上昇に転ずる可能性がありますし、百年に一度の変化なのであれば今後も下げる可能性がある、そんな非常に大きな分岐点に現在はあると考えるのが良いと筆者は思っています。

今回の公的資金注入は相当に強力な政策対応
 今回の急落が「パニック」なのであれば、最近の政策対応でほぼ収まるはずだと筆者は考えています。その理由は、現在までに出てきている政策が非常に強力だからです。今回の政策は日本の「失われた10年」に例えれば、異論はあるとは思いますが、筆者は「健全行」まで含めて資本注入を行った1999年の段階に達していると考えています。これは「金融システムを守る」という「決意」としては相当に強力なもので、「パニック」を収めるには十分だと考えます(日本の場合は間の悪いことにこの後米国でNASDAQのバブルがはじけてしまいましたので、ほとんど効果が現れませんでしたが、決意としては当時は相当強力でした)。

 ここでいう「パニック」とは、「財務が比較的健全な金融機関ですら、市場の疑心暗鬼のため資金繰りに苦労して破綻する可能性がある」とか、「少々不健全な金融機関は株の売り浴びせにあい、それが原因でますます信用力を落としていく」とかそういう状態です。これは、金融機関それぞれの「実態」と「市場での評価」とのギャップがどれだけあるのかすらわからない状態、つまり「金融市場が機能していない状態」ということで、非常に危険な状態です。
 こうした危険な状態は資本注入によりほぼ収まると筆者は見ています。そして、仮に今回の株式市場の急落が「パニック」によるところなのであれば、そろそろ底打ちするようなそういう状態なのではないかと考えています。

100年に一度の構造変化の可能性
 ただ筆者は、「パニック」が作用したためにここまで急激に株式市場が下がったという側面はもちろんあるものの、本質的には「構造変化」による「株式市場の水準訂正」という動きである可能性がそれなりにあると見ています。

 ここでいう構造変化は「投資銀行ビジネスの終焉」です。投資銀行という「借金をして、そのお金を使ってお金儲けをする」というビジネスが今後相当に縮小するため、「モノ、サービスの経済に対するお金の供給」が、今後「激減」するかもしれないという変化です。「デレバレッジ」と一般的には呼ばれています。

 投資銀行が隆盛を極めたこの10年余り、「投資銀行マン」の年収が億単位になるようなことは比較的当たり前でした。トップクラスになれば100億円に届くような年収を得るような場合もありましたが、これも裏返してみれば「借金をしてカネを儲けるという商売がそれほどまでに一般的になったということであり、いわゆる「信用バブル」が発生していたという証拠だったのかもしれません。

 各種統計から見ると、最近の「経済に対するお金の供給量」はまさに100年に一度の巨額なものに上っています。それだけ多くの人が借金をしていたからです。これがベア・スターンズ、リーマン・ブラザーズが破綻し、メリル・リンチ、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーが「商業銀行化」した今、今後はこれまでのような派手なビジネスをやることはほぼ不可能になりつつあります。経済規模に対する「お金」の量は減ることが確実で、信用バブルは崩壊し、今後は長い停滞の時代が来るかもしれません。このところの株式市場の急落はそうした「長い停滞」を織り込む動きである可能性があり、仮にそうであれば、まだまだいっそう下げても不思議ではないという状況です。

「先が読めないこと」自体が「株式市場の下げ要因」
 さて、現状では上記の通り「パニック収束→株式市場の反転上昇」となるのか「100年に一度の構造変化→下げ相場継続」となるのかはまだまだまったく読めません。そして、この「先が読めない」という状態自体が、株式市場の下げ要因となっています。

 最近の株式市場の「ボラティリティ(変動率)」は市場最高レベルです。これは先が読めないため、上がる時は短期間にかなり大きく上がるものの、下がる時もかなり大きく下げてしまうという非常に「不安定な状態」であることを示しています。たいていの投資家は「不安定」が大嫌いです。これは、安定しているのであれば安心して買いますが、不安定だととりあえず様子を見ようという心理が働くからです。このため、この不安定なこと自体が「下げ要因」になってしまっています。
 というわけで仮に今の状態が「パニックが収束して反転上昇を待っている状態」であったとしても、しばらくの間はなかなか市場が上昇しないという局面が続きます。

  さてこうした状態の中、投資家はどう動けばよいのでしょう?これは非常に難しいところです。今のところはまだどちらにかけるにしてもほとんど「ギャンブル」でしょう。ただ市場が「ギャンブル化」していますから、仮に当たれば相当大きな利益にはなるでしょう。もちろん外した時にも大きいですが・・・。こうしたギャンブルに対するアドバイスは筆者は率直に言って門外漢ですので、今回はこれ以上のコメントを差し控えます。

グローバル債券ファンドマネージャー 鈴木 英寿
提供:株式会社FP総研


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