債券投資はなぜ「資金の緊急避難先」なのか?
2008年10月28日 世界中を震撼させた世界同時株安。株価は果てしなく下げ続ける一方、債券への投資がこれまで以上に注目されています。
債権への投資に注目が集まっているのはなぜ?
欧米の金融危機を発端にした世界同時株安。日本もその影響を免れることはできず、日経平均株価はついに7,000円台にまで下落しました。
そして、ここ最近の傾向として、株安と同時に起こるのが長期金利の低下です。つまり、投資家の多くが、下値不安のある株式から債券へと資金をシフトさせる動きが強まったため、債券が買われているのです。
ところで、債券、特に国債が買われる理由として、よく「資金の緊急避難のため」と説明されたりします。これはいったいどういうことなのでしょうか。
景気悪化などにより、将来の企業業績の先行きに不安感が生じてくると、株式は売られ、株価は下がっていきます。投資家としては、このまま株式を持ち続けているとさらに株価が下がってしまい、運用成績の悪化につながると考えますから、株式を売って債券での運用に切り替える動きが強まります。
ただし、景気悪化により企業業績の低迷が見込まれるわけですから、企業の破たんにより元本が戻らなかったり利息が支払われないリスク(=デフォルトリスク)が懸念される社債よりも、破たんの危険性のほとんどない国債に資金の多くが流れることになります。
国債は、満期まで保有すれば、一定の利回りが確保されます。株式を保有していれば、大きな損失となる危険もあることを考えれば、投資家にとっては魅力的です。
さらに、今後景気悪化がさらに深刻化すると多くの投資家が予測すれば、株式から国債へと資金の流れが加速し、国債への需要が高まります。すると、国債の価格が上昇しますから、購入した国債を将来売却すれば、売却益を得ることができます。
「保有を続ければ一定の利回りが得られる」「投資家の資金がさらに国債へ流れ続ければ、将来売却により売却益も得られる」、という点から、今後の景気悪化が懸念されるときには国債が買われることになるのです。
債券の価格上昇は、同時に利回りの低下を表します。したがって、政策金利の引き下げが続いているなどの理由で、金利動向が低下傾向となれば、国債の利回りは下がり、価格は上昇します。
政策金利の引き下げは、景気悪化に歯止めをかけるために、金融緩和の効果を狙って行われるものです。
つまり、景気の悪化が続いているときは、「景気悪化」→「利下げ」→「国債価格上昇」→「景気はまだ悪化」→「さらに利下げ」→「さらに国債価格上昇」という図式が成立しているのです。
ただし、金利の低下が続くことにより国債価格が上昇するということは、裏を返せば、金利が上昇に転じれば、そのときは国債価格は下落することには十分注意が必要です。
債権投資の注意事項は?
よく、債券投資は「インフレに弱い」といわれます。景気の良い状態が続くなどの理由でインフレが進むと、それを抑制するために政府は政策金利の引き上げを行います。それにつれ、金利は上昇傾向となり、国債価格は値下がりします。
もちろん、国債の価格が値下がりするといっても、満期より前に売却せずに満期まで保有していれば、売却による損失も発生しませんし、一定の利息も確保できます。
しかし、低金利のときに購入した国債の利回りは当然低いものになっており、その後金利が上昇しても利息は低い状態で固定されたままですから、金利上昇による利回りアップの恩恵を受けられないのです。
以上をまとめると、債券投資は、次のような特徴を有したものといえます。
・投資したときより金利水準が低下すれば、将来低金利になったとしても、高金利の利息を受け取ることができ、満期前に売却すれば売却益を得られる可能性が高く、魅力的な投資対象になる。
・逆に投資したときより金利水準が上昇すれば、将来高金利になっても、低金利のままの利息しか受け取ることができない。かといって、満期前に売却すると売却損が発生し、元本割れになる可能性が高い。
では今後の債権投資のポイントは?
まだまだ世界の混乱は収まりそうにありません。将来のさらなる景気悪化、金利低下を見込めば、「満期まで保有することによる利回り確保」「将来の価格値上がりによる売却益」の両方をにらんで国債をはじめとした債券に投資するのも1つの考え方です。
他方、将来のインフレ懸念も根強く残っており、短期的には金利低下があったとしても、その後の近い将来に金利上昇に転じるかもしれません。また、矢継ぎ早の対策によって金融危機が収まり、景気も回復する可能性もあります。そうなれば、利回りが一定に固定され、かつ、金利上昇局面では値下がりしてしまう債券への投資は慎重にならざるを得ません。
将来、日本や世界の経済・景気がどうなるかは分かりません。したがって、債券への投資を行うかどうかは皆さんの今後に対する考え方次第です。
少なくとも、景気悪化時やデフレ時には有望な投資対象となり、景気回復時やインフレ時には株式に比べて相対的に不利になりがちである、という債券投資の特徴を踏まえたうえで、実際に投資するかどうか判断するようにしましょう。
債券投資には、債券それ自体に投資する方法以外にも、いくつかのバリエーションがあります。債券投資のさまざまな種類とその特徴、注意点などにつき、次回のコラムにてご紹介する予定です。
債権への投資に注目が集まっているのはなぜ?
欧米の金融危機を発端にした世界同時株安。日本もその影響を免れることはできず、日経平均株価はついに7,000円台にまで下落しました。
そして、ここ最近の傾向として、株安と同時に起こるのが長期金利の低下です。つまり、投資家の多くが、下値不安のある株式から債券へと資金をシフトさせる動きが強まったため、債券が買われているのです。
ところで、債券、特に国債が買われる理由として、よく「資金の緊急避難のため」と説明されたりします。これはいったいどういうことなのでしょうか。
景気悪化などにより、将来の企業業績の先行きに不安感が生じてくると、株式は売られ、株価は下がっていきます。投資家としては、このまま株式を持ち続けているとさらに株価が下がってしまい、運用成績の悪化につながると考えますから、株式を売って債券での運用に切り替える動きが強まります。
ただし、景気悪化により企業業績の低迷が見込まれるわけですから、企業の破たんにより元本が戻らなかったり利息が支払われないリスク(=デフォルトリスク)が懸念される社債よりも、破たんの危険性のほとんどない国債に資金の多くが流れることになります。
国債は、満期まで保有すれば、一定の利回りが確保されます。株式を保有していれば、大きな損失となる危険もあることを考えれば、投資家にとっては魅力的です。
さらに、今後景気悪化がさらに深刻化すると多くの投資家が予測すれば、株式から国債へと資金の流れが加速し、国債への需要が高まります。すると、国債の価格が上昇しますから、購入した国債を将来売却すれば、売却益を得ることができます。
「保有を続ければ一定の利回りが得られる」「投資家の資金がさらに国債へ流れ続ければ、将来売却により売却益も得られる」、という点から、今後の景気悪化が懸念されるときには国債が買われることになるのです。
債券の価格上昇は、同時に利回りの低下を表します。したがって、政策金利の引き下げが続いているなどの理由で、金利動向が低下傾向となれば、国債の利回りは下がり、価格は上昇します。
政策金利の引き下げは、景気悪化に歯止めをかけるために、金融緩和の効果を狙って行われるものです。
つまり、景気の悪化が続いているときは、「景気悪化」→「利下げ」→「国債価格上昇」→「景気はまだ悪化」→「さらに利下げ」→「さらに国債価格上昇」という図式が成立しているのです。
ただし、金利の低下が続くことにより国債価格が上昇するということは、裏を返せば、金利が上昇に転じれば、そのときは国債価格は下落することには十分注意が必要です。
債権投資の注意事項は?
よく、債券投資は「インフレに弱い」といわれます。景気の良い状態が続くなどの理由でインフレが進むと、それを抑制するために政府は政策金利の引き上げを行います。それにつれ、金利は上昇傾向となり、国債価格は値下がりします。
もちろん、国債の価格が値下がりするといっても、満期より前に売却せずに満期まで保有していれば、売却による損失も発生しませんし、一定の利息も確保できます。
しかし、低金利のときに購入した国債の利回りは当然低いものになっており、その後金利が上昇しても利息は低い状態で固定されたままですから、金利上昇による利回りアップの恩恵を受けられないのです。
以上をまとめると、債券投資は、次のような特徴を有したものといえます。
・投資したときより金利水準が低下すれば、将来低金利になったとしても、高金利の利息を受け取ることができ、満期前に売却すれば売却益を得られる可能性が高く、魅力的な投資対象になる。
・逆に投資したときより金利水準が上昇すれば、将来高金利になっても、低金利のままの利息しか受け取ることができない。かといって、満期前に売却すると売却損が発生し、元本割れになる可能性が高い。
では今後の債権投資のポイントは?
まだまだ世界の混乱は収まりそうにありません。将来のさらなる景気悪化、金利低下を見込めば、「満期まで保有することによる利回り確保」「将来の価格値上がりによる売却益」の両方をにらんで国債をはじめとした債券に投資するのも1つの考え方です。
他方、将来のインフレ懸念も根強く残っており、短期的には金利低下があったとしても、その後の近い将来に金利上昇に転じるかもしれません。また、矢継ぎ早の対策によって金融危機が収まり、景気も回復する可能性もあります。そうなれば、利回りが一定に固定され、かつ、金利上昇局面では値下がりしてしまう債券への投資は慎重にならざるを得ません。
将来、日本や世界の経済・景気がどうなるかは分かりません。したがって、債券への投資を行うかどうかは皆さんの今後に対する考え方次第です。
少なくとも、景気悪化時やデフレ時には有望な投資対象となり、景気回復時やインフレ時には株式に比べて相対的に不利になりがちである、という債券投資の特徴を踏まえたうえで、実際に投資するかどうか判断するようにしましょう。
債券投資には、債券それ自体に投資する方法以外にも、いくつかのバリエーションがあります。債券投資のさまざまな種類とその特徴、注意点などにつき、次回のコラムにてご紹介する予定です。
公認会計士・税理士・AFP 足立武志
提供:株式会社FP総研
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