下落相場を乗り切るにはどうすればよい?
2008年11月25日 金融危機により激震が走った世界中の株式市場。さらに追い討ちをかけた急速な円高。この難局を乗り越えるため、個人投資家はどうすればよいのでしょうか。
10月に入り、株式市場では激震が走りました。サブプライム問題に端を発した金融危機により、世界中の株式市場が大暴落したのです。しかも下落のスピードが過去に例をみないほど非常に速いものだったため、逃げ遅れた投資家が続出しました。
さらに世界同時株安と平行して、為替市場では、他の全ての通貨に対して円が全面高の展開となり、特に高利回りの通貨として個人投資家の人気が高かったユーロ、オーストラリアドル、ニュージーランドドル、南アフリカランドなどに対しては、軒並み急激な円高となりました。
このため、株式に投資している個人投資家のみならず、外貨預金やFX取引を行っている人や、グローバル・ソブリンをはじめとした外国債券のファンドに投資している人も含め、ほとんどすべての投資家が、今回の株式市場の急落や、急速な円高により、大きな損失を被ってしまいました。
もう損はしたくない!個人投資家はどうすればよい?
では、これから先、私たち個人投資家は、さらなる損失や失敗を回避するために、どのような行動をとっていけばよいのでしょうか。
まず第一に考えたいのは、「これ以上の損失の拡大を抑える」ということです。
現状のように、どの国の株式も下落し、外貨は全て急速な円高が進む、という状況では、いくら複数の資産に分散投資したとしても、大きな損失を被ってしまいます。
ですから、これ以上の損失が増えないようにするためには、株式や投資信託、外貨預金などの「リスク資産」を減らして、相場変動の影響を受けにくい商品、例えば現金やMMFなどに換えることが有効になります。
損失が増えてくると、半ば神頼みで「これからは上昇に転じる」と祈らずにはいられなくなってきます。その気持ちは筆者もよく分かりますが、相場の世界は無情であり、そこからさらに大きく下落し、結果として身動きがとれないほどの含み損をかかえてしまうことがよくあるのです。 損失の拡大をできるだけ抑えるために、例えば業績の悪化が見込まれる企業の株式を保有しているのであれば、業績の良い企業の株式に乗り換えることも有効になります。また、含み損をかかえている場合、ある程度の損失は覚悟で一旦売却し、その後にチャンスが到来したときに買いなおす、という方法も選択肢の一つです。
第二は、一定のキャッシュを確保しておく、ということです。
最も避けなければいけないのは、せっかくのチャンスが来たにもかかわらず資金がなくて何もできない、という事態です。
また、手元にキャッシュがほとんどなく、投資可能資金の大部分を投資に回していると、特に今回のような急落時にはパニックに陥ってしまい、冷静な判断ができなくなってしまいます。結果として、一番株価の安いところで投げ売りしてしまったり、損切りに躊躇して持ち株が塩漬け状態になってしまうのです。
資金の余裕は心の余裕につながります。資金に余裕があれば、ここからさらに下落しても、「安く買えてラッキー」と思えるようになります。
株価の下落が心配で夜も眠れない、という人は、おそらく投資可能資金の大部分を株式投資に回してしまい、手元に資金があまり残っていない人だと思います。
株式投資には常に冷静な判断力が求められます。決してパニックになってはいけないのです。チャンスが来たときに投資できるようにするため、そして常に冷静な気持ちでいるようにするため、一定の資金は常に手元に残すようにしましょう。
コツは、「安く買って高く売る!」
株式市場は時には大きく上昇することもあれば、逆にとてつもなく下落することもあります。そして、このような上下の振幅は今後も続くことになるでしょう。
長期保有のつもりでいつまでも保有し続けるのも投資行動の1つですが、今回の暴落を教訓に、株価が下がり始めたら持ち株を売ってキャッシュにしておき、株価が反発に向かえば再び買う、という「安く買って高く売る」戦略も大いに検討すべきだと思います。
この「安く買って高く売る」という投資行動、株式投資だけでなく、例えば外貨投資にも当てはめることができます。
昨年まで長期的に円安傾向が続いていましたから、多くの個人投資家は、「外貨を長期保有することで、日本円より高い金利が受け取れ、為替差益も期待できる」との思いで外貨投資をしていたはずです。
ところが、ここ最近の急速な円高により、受け取れる金利など簡単に吹き飛んでしまうほどの為替差損が生じた個人投資家が続出しています。
確かに昨年までは円安基調だったものの、過去にさかのぼれば、数年周期で円安と円高を繰り返していることがわかります。為替レートが長期間同じ方向に動き続けるケースは少ないのです。
ですから、今が円安トレンドなのか、円高トレンドなのかを見極め、円安トレンドから円高トレンドに移ったと判断したら一旦外貨を売って、次に円高トレンドから円安トレンドになったときに再び外貨へ投資する、という方法が有効になります。
新規投資をする際の注意点は?
では、これから新規投資のチャンスをうかがっているような個人投資家はどんな点に注意すればよいでしょうか。
今回の株価の急落は、少なくとも戦後はこれまでに経験したことのない大きさの下落でした。つまり、「10年に1度の大きな下落」ではなく、「100年に1度の非常に大きな下落」に私たちは巻き込まれているのです。この点をまず認識する必要があります。
したがって、例えば「バブル崩壊後は、日経平均株価が25日移動平均線からマイナス10%以上乖離すれば、常に大底になり、以後大きく反転した」というような過去の経験則が通用しないことが分かります。
こんなときは、下手に動いて勝負にいかず、相場の動きが落ち着くまで待って、それから新規買いなどの行動を開始するのが得策です。
少なくとも、下落基調が完全に止まるまでは、多額の資金を新規買いにつぎこむのは非常に危険です。「落ちてくるナイフをつかむな」という格言があるとおり、下落途中で株を買うことは、買った後さらに大きく下落することもあるため、基本的には避けるべきなのです。今回の下落では、過去の経験則から「売られすぎ」と判断した投資家が、下落途中に果敢に買いを入れましたが、100年に1度という予想外の大きな下落に遭い、あっという間に軒並み大きな損失を被りました。
無理に火中の栗を拾いに行くことはありません。ここまで大きく下落した相場ですから、落ち着いてからゆっくりと買いにいっても十分に間に合うはずです。
なお、確かに非常に安い価格まで売られている銘柄もとても多いですから、ここから5年、10年持ち続けるつもりで、めぼしい銘柄を少しずつ買っていく、という方針でもよいでしょう。ただし、さらなる下落がないとも限りませんから、資金の大部分を一度に注ぎこむことだけは避けるようにしましょう。
いつまでも下落する相場はありません。下落のあとには上昇がやってきます。100年に1度の下落をしたわけですから、将来上昇に転じたとき、その上昇は非常に大きなものになる可能性も大いにあります。
でも、いざそのチャンスがやってきたときに塩漬け株ばかりで身動きがとれないのではどうしようもありません。チャンスを生かすためには、チャンスのときに新たに投資できるだけの資金を常に確保しておくことが重要です。
10月に入り、株式市場では激震が走りました。サブプライム問題に端を発した金融危機により、世界中の株式市場が大暴落したのです。しかも下落のスピードが過去に例をみないほど非常に速いものだったため、逃げ遅れた投資家が続出しました。
さらに世界同時株安と平行して、為替市場では、他の全ての通貨に対して円が全面高の展開となり、特に高利回りの通貨として個人投資家の人気が高かったユーロ、オーストラリアドル、ニュージーランドドル、南アフリカランドなどに対しては、軒並み急激な円高となりました。
このため、株式に投資している個人投資家のみならず、外貨預金やFX取引を行っている人や、グローバル・ソブリンをはじめとした外国債券のファンドに投資している人も含め、ほとんどすべての投資家が、今回の株式市場の急落や、急速な円高により、大きな損失を被ってしまいました。
もう損はしたくない!個人投資家はどうすればよい?
では、これから先、私たち個人投資家は、さらなる損失や失敗を回避するために、どのような行動をとっていけばよいのでしょうか。
まず第一に考えたいのは、「これ以上の損失の拡大を抑える」ということです。
現状のように、どの国の株式も下落し、外貨は全て急速な円高が進む、という状況では、いくら複数の資産に分散投資したとしても、大きな損失を被ってしまいます。
ですから、これ以上の損失が増えないようにするためには、株式や投資信託、外貨預金などの「リスク資産」を減らして、相場変動の影響を受けにくい商品、例えば現金やMMFなどに換えることが有効になります。
損失が増えてくると、半ば神頼みで「これからは上昇に転じる」と祈らずにはいられなくなってきます。その気持ちは筆者もよく分かりますが、相場の世界は無情であり、そこからさらに大きく下落し、結果として身動きがとれないほどの含み損をかかえてしまうことがよくあるのです。 損失の拡大をできるだけ抑えるために、例えば業績の悪化が見込まれる企業の株式を保有しているのであれば、業績の良い企業の株式に乗り換えることも有効になります。また、含み損をかかえている場合、ある程度の損失は覚悟で一旦売却し、その後にチャンスが到来したときに買いなおす、という方法も選択肢の一つです。
第二は、一定のキャッシュを確保しておく、ということです。
最も避けなければいけないのは、せっかくのチャンスが来たにもかかわらず資金がなくて何もできない、という事態です。
また、手元にキャッシュがほとんどなく、投資可能資金の大部分を投資に回していると、特に今回のような急落時にはパニックに陥ってしまい、冷静な判断ができなくなってしまいます。結果として、一番株価の安いところで投げ売りしてしまったり、損切りに躊躇して持ち株が塩漬け状態になってしまうのです。
資金の余裕は心の余裕につながります。資金に余裕があれば、ここからさらに下落しても、「安く買えてラッキー」と思えるようになります。
株価の下落が心配で夜も眠れない、という人は、おそらく投資可能資金の大部分を株式投資に回してしまい、手元に資金があまり残っていない人だと思います。
株式投資には常に冷静な判断力が求められます。決してパニックになってはいけないのです。チャンスが来たときに投資できるようにするため、そして常に冷静な気持ちでいるようにするため、一定の資金は常に手元に残すようにしましょう。
コツは、「安く買って高く売る!」
株式市場は時には大きく上昇することもあれば、逆にとてつもなく下落することもあります。そして、このような上下の振幅は今後も続くことになるでしょう。
長期保有のつもりでいつまでも保有し続けるのも投資行動の1つですが、今回の暴落を教訓に、株価が下がり始めたら持ち株を売ってキャッシュにしておき、株価が反発に向かえば再び買う、という「安く買って高く売る」戦略も大いに検討すべきだと思います。
この「安く買って高く売る」という投資行動、株式投資だけでなく、例えば外貨投資にも当てはめることができます。
昨年まで長期的に円安傾向が続いていましたから、多くの個人投資家は、「外貨を長期保有することで、日本円より高い金利が受け取れ、為替差益も期待できる」との思いで外貨投資をしていたはずです。
ところが、ここ最近の急速な円高により、受け取れる金利など簡単に吹き飛んでしまうほどの為替差損が生じた個人投資家が続出しています。
確かに昨年までは円安基調だったものの、過去にさかのぼれば、数年周期で円安と円高を繰り返していることがわかります。為替レートが長期間同じ方向に動き続けるケースは少ないのです。
ですから、今が円安トレンドなのか、円高トレンドなのかを見極め、円安トレンドから円高トレンドに移ったと判断したら一旦外貨を売って、次に円高トレンドから円安トレンドになったときに再び外貨へ投資する、という方法が有効になります。
新規投資をする際の注意点は?
では、これから新規投資のチャンスをうかがっているような個人投資家はどんな点に注意すればよいでしょうか。
今回の株価の急落は、少なくとも戦後はこれまでに経験したことのない大きさの下落でした。つまり、「10年に1度の大きな下落」ではなく、「100年に1度の非常に大きな下落」に私たちは巻き込まれているのです。この点をまず認識する必要があります。
したがって、例えば「バブル崩壊後は、日経平均株価が25日移動平均線からマイナス10%以上乖離すれば、常に大底になり、以後大きく反転した」というような過去の経験則が通用しないことが分かります。
こんなときは、下手に動いて勝負にいかず、相場の動きが落ち着くまで待って、それから新規買いなどの行動を開始するのが得策です。
少なくとも、下落基調が完全に止まるまでは、多額の資金を新規買いにつぎこむのは非常に危険です。「落ちてくるナイフをつかむな」という格言があるとおり、下落途中で株を買うことは、買った後さらに大きく下落することもあるため、基本的には避けるべきなのです。今回の下落では、過去の経験則から「売られすぎ」と判断した投資家が、下落途中に果敢に買いを入れましたが、100年に1度という予想外の大きな下落に遭い、あっという間に軒並み大きな損失を被りました。
無理に火中の栗を拾いに行くことはありません。ここまで大きく下落した相場ですから、落ち着いてからゆっくりと買いにいっても十分に間に合うはずです。
なお、確かに非常に安い価格まで売られている銘柄もとても多いですから、ここから5年、10年持ち続けるつもりで、めぼしい銘柄を少しずつ買っていく、という方針でもよいでしょう。ただし、さらなる下落がないとも限りませんから、資金の大部分を一度に注ぎこむことだけは避けるようにしましょう。
いつまでも下落する相場はありません。下落のあとには上昇がやってきます。100年に1度の下落をしたわけですから、将来上昇に転じたとき、その上昇は非常に大きなものになる可能性も大いにあります。
でも、いざそのチャンスがやってきたときに塩漬け株ばかりで身動きがとれないのではどうしようもありません。チャンスを生かすためには、チャンスのときに新たに投資できるだけの資金を常に確保しておくことが重要です。
公認会計士・税理士・AFP 足立武志
提供:株式会社FP総研
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