株式市場、潮目は変わったか?
2009年06月25日下げに転じた(?)株式市場
3月以降続いてきた株高、金利上昇の動きがここに来て変調してきたように感じられます。日経平均株価は1万円越えを実現したものの、終値ベースではわずか2日間のみしかもたず、その後9500円前後まで下げています。昨年の下げがきつかった分回復も目立っていた新興国の市場も時を同じくして下げに転じています。その他の市場もほぼすべてが不調です。
一方で長期金利も世界中で徐々に低下しています。一事4%をつけた米10年国債利回りも3.6%くらいまで下がってきています。
「さすがに金利は上昇しすぎた」がコンセンサスに
筆者は3月から株式市場が回復し始めた頃から、これは「ベア・マーケット・ラリー」であり長続きするものではないと見てきました。そして楽観論が盛り上がって金利が急激に上がるようなことがあれば、その後の景気は想像以上に圧力を受けることになる、とずっと警告をしてきました。
最近の株式市場の変調は、ここに来て筆者の見方に同意する人が増えてきたからだと思われます。今月初めには米国で「年内利上げ再開観測」が台頭するに至りましたが、多くの人が「さすがにこれはやり過ぎだ」と感じているようです。この辺りは筆者が日々接している調査会社や証券会社などのレポートの論調からはっきりと感じられます。
中国の在庫データ
潮目が変わってきた最大の理由は、おそらく、昨冬から各国に先駆けて大規模な財政発動を行って世界の景気を下支えしてきた中国経済に対する見方が変化してきたことだと思われます。
この点についても筆者は懐疑的だったのですが、多くの人は「中国の財政政策が世界を救う」という言葉がオーバーではないほど、それに期待していました。中国が大規模プロジェクトなどの形でお金を大胆に使うことで、多くの国が中国への輸出回復を通じて恩恵を受けることが期待されました。実際、今年の1~2月からは輸出が目立って回復する国が相次ぎました。
ただ、ここに来て分かってきたことは、中国では確かにお金が使われているものの、どうもそれは単に在庫を増やすというだけで終わってしまっているのではないかということです。中国の統計は信頼性に欠けるところがまだまだありますが、どうも各種データを総合するとそんな感じになっています。仮にそうであれば、今後は中国向け輸出のペースは当然鈍ることになります。
量的緩和が本当に景気を回復させることができるのか?
潮目が変わってきた理由にはもうひとつ「量的緩和政策」に対する人々の理解が進んできたことも挙げられます。3月に英、米でこの政策が導入された際にはその「危険さ」が強調され、さも万能かつ即効性のあるような政策であるようなイメージを持つ人が多く、「日本ではこれを導入しても景気が物凄く良くなることもなかったし、インフレになることもなかった」といっても「日本は例外」という反論が返ってくることが圧倒的でした。
しかしながら、その後3ヶ月かけて様々な研究が各方面でどうも進み、「日本は例外」という旗印はなかなか降ろさないながらも、どうも本当に大変なことになっている時にはそれほど危険でも即効性があるわけでもないということが知れ渡りつつあるように感じられます。
ただ、実際のところはイマイチよく分からないので、実際にこの政策を実行している中央銀行の考えを聞いてみようという人が大多数です。このため、中央銀行が「インフレ懸念がある」といえばああそうかと思って債券を売り、「インフレを懸念するのは時期尚早」と言えばそれならと債券を買う、という「他力本願的」な風潮が蔓延しているように感じられます。
最重要ポイントは「金融システム」に変わりなし
そうした意味で、24日(水)の米FOMC(公開市場委員会)の声明は重要です。声明が楽観的か悲観的か、それにより楽観論が再び台頭して株式一段高となるか、それとも悲観論に転じて「ベア・マーケット・ラリー」が終わるか、どちらに転ぶ可能性もありえます。もちろん当たり障りのない表現に終始し「結論は次回8月12日のFOMCに持ち越し」ということもありえます。
ただ賢明な投資家としては、そうして他力本願はできるだけ避け、自分の頭で考えるべきだと筆者は思います。筆者の考えは一貫して「金融システムは瀕死の状態のままで、しかもまだ足元でも悪化が続いている」です。そうである限りはどんな政策を打っても「痛み止め」、「止血」くらいの効果しかありません。また在庫調整が進むことによって自律的に景気が反発しても一時的かつ小規模にとどまります。これは日本の「失われた10年」の経験から明らかです。
ここまで金利が上がってしまった今、ひょっとすると既に始まったか、あるいはもう一段の上昇後かもしれませんが、株式市場はかなり下げることになると筆者は考えています。おそらく市場が底を打つのは「日本の失われた10年は例外かつ特殊だった」という見方が消え、世界全体が日本と同じ状態になったことに気づく人が十分に増えた頃になると考えています。
3月以降続いてきた株高、金利上昇の動きがここに来て変調してきたように感じられます。日経平均株価は1万円越えを実現したものの、終値ベースではわずか2日間のみしかもたず、その後9500円前後まで下げています。昨年の下げがきつかった分回復も目立っていた新興国の市場も時を同じくして下げに転じています。その他の市場もほぼすべてが不調です。
一方で長期金利も世界中で徐々に低下しています。一事4%をつけた米10年国債利回りも3.6%くらいまで下がってきています。
「さすがに金利は上昇しすぎた」がコンセンサスに
筆者は3月から株式市場が回復し始めた頃から、これは「ベア・マーケット・ラリー」であり長続きするものではないと見てきました。そして楽観論が盛り上がって金利が急激に上がるようなことがあれば、その後の景気は想像以上に圧力を受けることになる、とずっと警告をしてきました。
最近の株式市場の変調は、ここに来て筆者の見方に同意する人が増えてきたからだと思われます。今月初めには米国で「年内利上げ再開観測」が台頭するに至りましたが、多くの人が「さすがにこれはやり過ぎだ」と感じているようです。この辺りは筆者が日々接している調査会社や証券会社などのレポートの論調からはっきりと感じられます。
中国の在庫データ
潮目が変わってきた最大の理由は、おそらく、昨冬から各国に先駆けて大規模な財政発動を行って世界の景気を下支えしてきた中国経済に対する見方が変化してきたことだと思われます。
この点についても筆者は懐疑的だったのですが、多くの人は「中国の財政政策が世界を救う」という言葉がオーバーではないほど、それに期待していました。中国が大規模プロジェクトなどの形でお金を大胆に使うことで、多くの国が中国への輸出回復を通じて恩恵を受けることが期待されました。実際、今年の1~2月からは輸出が目立って回復する国が相次ぎました。
ただ、ここに来て分かってきたことは、中国では確かにお金が使われているものの、どうもそれは単に在庫を増やすというだけで終わってしまっているのではないかということです。中国の統計は信頼性に欠けるところがまだまだありますが、どうも各種データを総合するとそんな感じになっています。仮にそうであれば、今後は中国向け輸出のペースは当然鈍ることになります。
量的緩和が本当に景気を回復させることができるのか?
潮目が変わってきた理由にはもうひとつ「量的緩和政策」に対する人々の理解が進んできたことも挙げられます。3月に英、米でこの政策が導入された際にはその「危険さ」が強調され、さも万能かつ即効性のあるような政策であるようなイメージを持つ人が多く、「日本ではこれを導入しても景気が物凄く良くなることもなかったし、インフレになることもなかった」といっても「日本は例外」という反論が返ってくることが圧倒的でした。
しかしながら、その後3ヶ月かけて様々な研究が各方面でどうも進み、「日本は例外」という旗印はなかなか降ろさないながらも、どうも本当に大変なことになっている時にはそれほど危険でも即効性があるわけでもないということが知れ渡りつつあるように感じられます。
ただ、実際のところはイマイチよく分からないので、実際にこの政策を実行している中央銀行の考えを聞いてみようという人が大多数です。このため、中央銀行が「インフレ懸念がある」といえばああそうかと思って債券を売り、「インフレを懸念するのは時期尚早」と言えばそれならと債券を買う、という「他力本願的」な風潮が蔓延しているように感じられます。
最重要ポイントは「金融システム」に変わりなし
そうした意味で、24日(水)の米FOMC(公開市場委員会)の声明は重要です。声明が楽観的か悲観的か、それにより楽観論が再び台頭して株式一段高となるか、それとも悲観論に転じて「ベア・マーケット・ラリー」が終わるか、どちらに転ぶ可能性もありえます。もちろん当たり障りのない表現に終始し「結論は次回8月12日のFOMCに持ち越し」ということもありえます。
ただ賢明な投資家としては、そうして他力本願はできるだけ避け、自分の頭で考えるべきだと筆者は思います。筆者の考えは一貫して「金融システムは瀕死の状態のままで、しかもまだ足元でも悪化が続いている」です。そうである限りはどんな政策を打っても「痛み止め」、「止血」くらいの効果しかありません。また在庫調整が進むことによって自律的に景気が反発しても一時的かつ小規模にとどまります。これは日本の「失われた10年」の経験から明らかです。
ここまで金利が上がってしまった今、ひょっとすると既に始まったか、あるいはもう一段の上昇後かもしれませんが、株式市場はかなり下げることになると筆者は考えています。おそらく市場が底を打つのは「日本の失われた10年は例外かつ特殊だった」という見方が消え、世界全体が日本と同じ状態になったことに気づく人が十分に増えた頃になると考えています。
グローバル債券ファンドマネージャー 鈴木 英寿
提供:有限会社イマジネーション
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