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やはり消費に回復の兆し無し

2009年10月09日

日本株の弱さ目立つ
 世界の株式市場は一進一退ながら、このところボラティリティ(変動)が大きくなってきました。この先相場がどちらに動くのか、難しい局面に入ってきたことを示しています。

 その中で日本株の弱さが目立ちます。巷では、このところの「円高」がその主因だという声が強いですが、筆者も基本的に同意見です。ただどうして円高になってきているかということを冷静に考えてみると、これはやはり市場のボラティリティが高まってきたことから「安全資産」である円にお金が戻り始めていると考えるのが自然なような気がします。

 「円高が主因で日本株が相対的に弱い」というのは市場全体がリスク回避の方向に動き始めた証拠なのではないかと筆者は捉えています。

 また日本株は世界の株式市場の中でもボラティリティが比較的高いという特性があります。これは、経済構造が「輸出主導」であるため、世界経済全体がよいときにはその恩恵を強く受け、逆に悪い時にはメチャクチャになるためで、日本株市場は他市場と比べて「良いときにはより良い」、「悪いときにはより悪い」という動きになることが多くなります。

 そう考えると最近の日本株の弱さは「世界全体がだんだん悪くなることを織り込む動き」のような気がしてならず、上述の円高とあわせて考えるとやはり「3月以降の回復相場は終わっている可能性が高い」とどうしても筆者には思えてしまいます。

米・欧・日ともに消費は非常に弱い
 実体経済のデータを見ても、これまでの「期待先行」が裏切られる可能性が高まっているような気がしてなりません。

 まず先進各国の消費はまったくといっていいほど回復の兆しがありません。率直に言って、この状況で株式市場がここまで回復したのが不思議なくらいです。雇用情勢は極めて悪く、住宅ローンの返済遅延、住宅の差し押さえはますます増えています。米銀の倒産も年初来で100行越えが目前ですし、銀行貸出は減少の一途です。

 そして悪いことに、この1年間、世界中で様々な形で行われた政府の支援策が続々と打ち切りとなり、かわって増税がちらほらと発表され始めています。金融政策も豪州が今回の景気後退局面で主要国で初となる利上げに動いた他、米FRBも量的緩和を断続的に終了させる方針を発表するなど、政策効果もなくなります。

 率直に言って、先進主要国の消費がこの先回復するようなシナリオは、どうやっても書けないというのが筆者の実感です。にもかかわらず、米株式市場は2010年、2011年ともに20%以上の増益を織り込んでいます。いったいどうやってこれが可能なのか、本当に疑問です。

「強気派」の根拠はますます薄弱に
 あえて「強気」になれる要因を探してみると、「それでも低金利は長期間維持される」、「インフレの芽は当分ない」、「新興国の発展は続く」というところです。どんなに強気の人でも「先進諸国の消費が力強く回復する」と見ている人は皆無といってよい状況です。

 そして消費が回復するかどうかは「経済の自律調整メカニズムが働くのでそのうち上がってくる」というばかりです。「90年代の日本は結局10年待っても上がってこなかった」と言っても、「日本とは違う」の一点張りです。

消費回復なくして一段の上昇はなし
 繰り返しになりますが、株式市場は既に来年、再来年とかなりの増益が続くことを織り込んでいます。つまり、ここから株式市場が一段と上昇するためには、実際の来年、再来年の業績が期待値を上回る必要があるということです。

 これにはどう計算しても消費の回復が必要になります。しかしながら、金融システムの状況を見ればそれは非常に困難です。収入が増える見込みもなく、失業のリスクにさらされ、お金が足りなくなってももはや貸してくれる人はおらず、しかも家の値段がさらに下がると差し押さえの危機までやってくる…そんな状況で消費が増えるはずはありません。

 しばらくすれば、これに増税が間違いなく加わります。各国ともに財政が急激に悪化していますので火を見るよりも明らかです。8月には米国で自動車購入のインセンティブが終了しましたが、こうした政策が切れるだけでも痛いのに、この上税金まで上がったらいったいどうなるか…

 筆者は弱気継続です。ボラティリティが上がっていますので、一喜一憂は禁物です。少なくとも、少し株価が上がったからといって焦ってそれについていくことだけは避けた方がよいと思います。

グローバル債券ファンドマネージャー 鈴木 英寿
提供:有限会社イマジネーション


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