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本当にお金を借りてまで自分の家が必要ですか

2008年12月19日

 先日麻生総理が、住宅ローン減税延長と最大控除額を600万円に引き上げる発表をしたことは周知のことです。今回は、この住宅ローン借入を決める前にするべきことを考えてみましょう。

 私はFP業務をしていますが、相談者から、住宅ローンの借り替え相談時に何気なく、「住宅購入を検討する時点でもっと購入後のことを考えておけばよかった」と言われることがあります。
 このことばの中には、これから住宅ローンを組んで住宅購入を検討している方々の一助となる、貴重なアドバイスが多く含まれています。

 勿論、可能であればご本人には改善案を提案いたします。また、今後住宅ローンを組んで住宅購入を希望している方のために、匿名で事例を話すことをお願いして快諾頂いた事項は、住宅購入希望の方へのカウンセリングの中でお話しをさせていただいています。

 そこで、その基本的な部分「5項目」を「住宅ローン借入のためのマニュアル」としてまとめてみました。内容は、考え方によっては借入のための金融機関の審査より厳しいといえるかも知れません。

1.借入=借金をしてまで、家を持つ目的は明白ですか
 なんとなく家が欲しいと思っていた時に、「よい物件を紹介された」ので後先を考えず、即契約をした。そして、自分の家を持てたが借金も付いてきた。さあ、今後どのように返済しよう・・・ではいけません。

2.自宅を持つ場所(居所)を家族は納得しているか、またはその場所に住む目的は明白ですか
 単に価格だけで物件を購入した結果、通勤に時間がかかり、結局勤め先近くに賃貸部屋を借りることになった、という話しを聞いたことがあります。
 また、「孟母三遷」という故事成語をご存知だと思います。中国の儒学者「孟子」の母親は、孟子の教育環境を考え、引越しを繰り返し3回目のところを居所としました。
 具体的には、孟子は幼い頃、墓場の近くに住み葬式ごっこばかりを、市場の近くへ引っ越してからは商人ごっこばかりしていました。孟子の母親は、教育環境によくないと学校の近くに引っ越しました。すると、今度は生徒を見習うようになりました(学校ごっこ?)。孟子の母親は、ここが孟子には一番ふさわしいと、その学校の近くに定住して、その後、孟子は儒教の大家になりました。つまり、住む環境が人の将来を左右するというお話です。
 現在でも、子供教育のために私立小学校や中学の近くに引越しをする家庭もあるようです。
 念のために、私は決して職業を問題としているのではなく、居所選択の例としてお話をしています。

3.将来の家計の流れを知るために、キャッシュフロー表を作ってみましたか
 人生の三大支出(「教育」「住宅」「老後資金」)の一つである、「住宅」資金を支出するのに、将来の見通しを把握せずローンを組み、実際に返済をし始め、現状に驚嘆する方がいました。
 また、よくあるパターンですが、子供の「教育」資金と「住宅」ローンの返済が重なる時期があり、なかには定年の時期とも重なる方もいます。
 想定される事態に慌てることのないように、まずはキャッシュフロー表を作成し、家計が苦しくなる前にその時期を乗り切る対策を講じるのが基本です。
 また、家族の環境が変わるごとにキャッシュフロー表の修正も必要です。もし、何らかの事情で対策が打てなくとも、そのような時期が訪れることを把握しているだけで、日常の生活が変わるでしょう。

4.借入したローンの内容を知っていますか
 借り替えの相談を受ける場合に、中には、何年間で返済するとか、毎月の返済額は知っていても、詳細に把握しておくべきローンの内容を知らない人がいます。このような方のためにFPがいるといってもよいかもしれません。
 具体的なシミュレーションの業務はFPに任せていただいてもよいのですが、少なくとも、現在借入中のローンの金利や、利息の負担を軽減する方法として、繰上返済という言葉くらいは理解しておいて頂きたいものです。

5.あなたは、「戸建て派」ですか?「共同住宅(マンション)派」ですか?
 購入物件の環境にうまく順応できればよいのですが、例えば、従来から戸建てに住んでいた方がマンションを購入してそこに住んだ場合、ある意味共同生活を強いられるため、人間関係に悩んだりする場合があるようです。
 当然のことですが、一度購入して、環境が合わないといってすぐに手放すことは、通常不可能です。
 そこで、戸建てがよいかマンションがよいか、といったところも検討して、物件の選定をする必要があります。

 以上、5項目全てチェックして頂けたでしょうか。
 もしもクリアーできない項目がありましたら、その対策を練ってから、借入額や購入物件の選択を検討されることお勧め致します。
 なぜならば、高額のお金を借りて、それだけの価値のあるご自宅を購入して頂くためです。何となくよさそうな家だし、なんとなくお金も返していけそうだから買った、では、本当に高額のお金を借りてまで自分の家が必要で買ったのか、購入したご本人が、自問する時が来るかもしれないからです。
 私の相談者の中には、実際にそういった方がいます。中には、そのために体調を崩されてしまう方もいました。

 読者の中には、「何を言っているのだ、こんなことを悠長に考えていたらよい物件は売れてしまうよ」と思っている方もいるでしょう。言われることはごもっともです。しかし、よく考えてみて下さい。自分に向くか向かないかをよく吟味しないで購入して、不幸にもご自分に向かない物件だったとわかった時に困るのは、あなた自身です。

 そこで私は、「高価な買い物で高額の借入をしたけど、いい家が買えたね」と、家族で言える、また周りの人からも言ってもらえるように、繰り返しになりますが、まず上記の5項目をチェックしていただき、不足部分は補ってから、具体的な購入のための段階に進んで行っていただきたいと考えます。

株式会社 住まいと保険と資産管理
ファイナンシャルプランナー CFP 牧野寿和
提供:株式会社FP総研


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