
Business Media 誠
トランジスタラジオやウォークマン、プレイステーションやVAIOなど、高いブランド価値を持つ製品を生み出してきたソニー。しかし今、テレビ事業の不振などによって、2012年3月期の業績見通しを5200億円の赤字と見込む結果となっている。
こうした厳しい状況のもと、4月1日にハワード・ストリンガー氏から社長兼CEOの座を譲られた平井一夫氏。ソニーが復活するにはどのようなことがポイントとなるのか。幹部などへの長年の取材をもとに『さよなら!僕らのソニー』でソニーの現状を描き出した立石泰則氏と、バークレイズ・キャピタル証券で家電アナリストを務める藤森裕司氏が4月23日、日本外国特派員協会でソニーや日本の電機産業の未来について語った。
●ソニーはどういう会社なのか
立石 ソニーでは4月1日にハワード・ストリンガー氏が退任して、平井一夫氏が社長兼CEOになりました。そして、4月5日には経営方針説明会が行われました。しかし、そこで平井氏が掲げたソニーの再建案はあまり評価されませんでした。それは従来とあまり変わらなかったからです。私はソニーが避けて通れない構造的な問題がこれまであったにも関わらず、それが放置されてきた結果が今になったと思っています。
ソニーは私たち(日本人)にとってはエレクトロニクスメーカーですが、ストリンガー氏によると米国では『スパイダーマン』に代表されるようなエンタテインメントの企業、またある人によるとゲームメーカーであるというように、いろんな顔を持った会社です。しかし、私はここが一番の問題だと思っています。つまり、「ソニーがどんな企業か分からなくなっていることが問題だ」と考えているからです。
ソニーは事業会社でありながら、同時に持株会社としての機能も求められるようになっています。それは中間持株会社であるソニー・アメリカを、持株会社として支配しているからです。そして、ソニー・アメリカの下にソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント、ソニー・ミュージックエンタテインメント、ソニー・エレクトロニクスといった子会社があります。
ソニーは地域統括会社として、ソニー・チャイナやソニー・ヨーロッパなどを持っていますが、それらは全部セールスカンパニーです。なぜ事業会社でありながら持株会社的な機能まで持たなければならなくなったかというと、コロンビア映画(現ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント)やCBSレコード(現ソニー・ミュージックエンタテインメント)を買収した時、それらをいかに管理するかということから中間持株会社を作らなければいけなかったことに起因しています。
つまり、事業会社としてのソニーにはエンタテインメントが分かる人がいません。そのため、コロンビア映画を買収してソニー・ピクチャーズ・エンタテインメントを作っても経営できないので、丸投げして、誰かに任せるしかありません。
ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメントは、創業者の盛田昭夫氏と(5代目社長の)大賀典雄氏がハードとソフトのビジネスの融合を目指して買収しました。巨大な投資をして、エレキ(電器事業)への効果を期待した会社です。
ご存じのようにソニー・ピクチャーズ・エンタテインメントの経営は当初失敗します。米国で出た『Hit and Run』という本では、いかにソニーが食い物にされたかということがよく書かれています。それはハリウッドの映画会社の経営がいかに難しいかということの表れでもあります。
もちろんソニー・ピクチャーズ・エンタテインメントの管理はその親会社であるソニー・アメリカが行うわけですが、当時のソニー・アメリカのトップだったマイケル・シュルホフ氏は大賀氏の信任の厚い人でした。逆に言うと、本社の言うことを聞かなくて、独自の行動を展開することになりました。

















