
Business Media 誠
遠藤諭の「コンテンツ消費とデジタル」論:
前回、アスキー総合研究所の消費行動やメディア・コンテンツに関する1万人調査「MCS 2012」の集計結果をもとに、日本人のメディア利用が2011年に大きく変化したことを紹介した。「テレビの1日平均視聴時間」の大幅な減少、「PCからのネット利用時間」と「携帯電話利用率」の普及以来初めての減少、そして、「スマートフォン」と「タブレット」の利用率の増加などだ。
同時発生していることから「戦後最大のイス取りゲームが始まっている」と書いたが、前回の記事中の図では見えにくい2つのポイントについて触れておきたいと思う。1つは東日本大震災に関することで、もう1つはタブレットの市場についてである。
東日本大震災に際して、メディアの果たした役割はさまざまな形で報じられている。震災直後の連絡手段や情報収集、その後の被災地の支援に関係する情報、原発の是非に関する議論なと、新旧のメディアで多くの人たちが活躍された。そしてこうしたことは、震災が日本のメディア全体に対して影響を与えることでもあった。
●震災は高齢者や女性の意識を変えた
アスキー総研の1万人調査では、「東日本大震災以降の意識・関心・ライフスタイルの変化」という16の設問を集計した。下の図は性年代別の集計結果の一部だが、「ニュースへの関心が高くなった」「政治や社会制度への信頼感が低くなった」など、多くの項目で年齢が高いほど「該当する」(意識の変化があった)という比率が多い。また、女性が「該当する」と答えている傾向も高い。このデータを見る限りだが、「東日本大震災は、女性の、しかも年齢が高い人ほど心理面での影響が大きかった」と言えるのではないか。
「貯蓄・保険への関心が高くなった」では、男性は30代後半が高く、女性は20代が該当していると答えている。そして、「メディアに対する信頼感が低くなった」に対しては、10代を除く全世代が15%程度の割合で「該当する」と答えている。ほぼ全世代にわたって「メディアの信頼感が低下した」とは、どんな意味なのかをにわかに判断できないほどの出来事なのではないか?
この背景には、Twitterやブログなどの新しいメディアで、当事者や専門家の意見、記者会見のストリーミング、海外メディアの扱いなどに、容易にリーチできるようになったことがある。事実、「ニュースの情報源」としてTwitterを挙げる人では、35.7%が「メディアに対する信頼感が低くなった」と答えている(言うまでもなく、新しいメディア=信頼できるという意味ではない)。
しかし、Twitterの利用者は20代がピークであり、そういった若年層はもともとメディアに対する信頼感が低いという見方もあるだろう。高年齢者や女性層は、ソーシャルメディアの影響とは関係なく、従来のメディアへの信頼感を失ったのだともいえる。彼らが、ニュース、政治、社会制度、環境などへの関心が高まったと答えている状況に対して、メディア全体が十分には応えられなかったのではないだろうか。
震災の影響は、コンテンツの消費においてもあったはずだ。東日本大震災の後、映画館に映画を見に行く人は一時的に増えたが、夏以降には低下し始め、年間興行収入は1812億円と、前年比82%となった(日本映画製作者連盟による)。その理由としては、過去最高の興行収入だった2010年に比べて、ヒット作に恵まれなかったというのはあるだろう。
















